Contents
車道で寝ていたり座り込んでいた場合の自己の過失割合
車道で人が寝ていたり座り込んだりしていた場合の事故について
酔っ払った歩行者が、道路上で寝ていたりして交通事故にあうことはよくあることです。このように、歩行者が道路上で寝ていたり、座り込んだりしていて、それを車がはねてしまった事故の場合の過失割合について考えてみます。このケースは、3つの類型が設定されています。
昼間で歩行者の発見が困難な場合の事故
一つ目は、昼間で、車の運転者が、事前に道路上にいる歩行者の発見が困難であった場合の過失割合です。たとえば、急カーブの道路区域に歩行者が寝ていて事故に巻き込まれたような場合です。この場合の過失割合は、歩行者30%車70%です。
昼まで歩行者の発見が困難でない場合の事故
二つ目は、昼間で、車の運転者が、事前に道路上にいる歩行者を発見することが困難でない場合の過失割合です。たとえば、見通しのよい直線道路の真ん中で歩行者が座り込んでいて事故に巻き揉まれた場合が該当します。この場合の過失割合は、歩行者20%車80%です。
夜間の事故の場合
最後に、夜間において、歩行者が道路上に寝ていたり、座り込んだりして、事故に巻き込まれた場合です。この場合は、夜間で道路上の歩行者を遠方から発見するのは極めて困難ですから、車の過失割合が低く、反対に歩行者の過失割合が高く設定されています。よって歩行者50%車50%です。
なお、上記の3つの類型すべてについて、事故の発生場所が幹線道路(片側2車線以上、幅員14m以上)である場合には、歩行者の過失割合が10%程高くなります。幹線道路では、交通量が多いため、事故の危険が高まります。そのような道路上で歩行者が危険行為を行い事故が起きたわけですから、より大きい責任を負わされます。
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歩道上の歩行者との事故の過失割合
歩道上の歩行者をはねてしまった場合の過失割合
歩道上の歩行者を車ではねてしまった場合の過失割合について考えてみます。原則として、歩道上を歩行している歩行者を車ではねた場合は、歩行者0%車100%の過失割合となります。
大半の場合は、完全に歩行者をはねた車側が責任を負うことになります。最終的な過失割合は修正要素を加味して決まりますが、歩行者側の基本過失割合が0%ですから、減算要素は問題となりません。
修正要素の加算について
問題となるとすれば加算要素ですが、加算要素の主なものは、夜間、幹線道路、車両に警笛吹鳴あり、直前直後横断(フラフラ歩きなど含む)、の4項目ですが、夜間を除くと、該当になるとは考えにくいものばかりです。
まず、幹線道路は、普通は立派な歩道がありますから、幹線道路の歩道を歩行中の歩行者が、普通の道路の歩道を走行中の歩行者よりも、交通事故に遭遇したことに関して過失が重くなるとは普通は考えません。
また、車両に警笛吹鳴ありというのも、普通は、車道に対する飛び出しなどに警笛が使用されますから、歩道を歩行者に警笛を使うとは考えにくいことです。逆に、歩行者の列に車が突っ込んだ事態などが想定され、車側の過失として認定されそうです。直前直後横断も、歩道内であれば問題となることはまずありません。
車道を横断することに問題があります。ですから、せいぜい問題となる加算要素は、事故が起こった時間帯が夜間であった場合ぐらいです。事故発生時間帯が夜間であることの加算は5%程度ですから、歩行者が歩道上で事故に巻き込まれた場合には、歩行者が負担する過失割合は0%か多くても5%程度ということになります。
歩道上の歩行者は絶対はねてはならない
歩道走行中の歩行者をはねるということは、車側は重大な責任を負います。怪我や後遺障害、最悪死亡させた場合、原則として、その全額を賠償しなければなりません。歩行者が飛び出しや信号無視などの本人の過失により事故に巻き込まれる場合、本人も交通ルールを守らなかったわけですから、やむを得ない側面もあります。
しかし、歩道歩行中に事故に巻き込まれた場合、本人はまったく過失なく、大変な目に遭うわけです。損害賠償金の金額の問題もありますが、被害者の心情を察すると、絶対起こしてはいけない事故のパターンであると言えます。
通常の道路を横断しようとしている歩行者との事故の過失割合
横断歩道のない通常の道路を横断しようとしている歩行者と車の事故の場合
通常の道路を横断しようとしている歩行者との交通事故の過失割合について考えてみます。地方道など、片側一車線の道路を想定した場合、車が道路横断中の歩行者をはねる事故を起こした場合、過失割合の基本は歩行者20%車80%です。なお、通常の道路とは、交差点から相当離れた横断歩道も信号もない道路のことです。
しかし、横断歩道の近くで、横断歩道の付近と呼ばれる場所(幅員10m以内の道路では横断歩道から20mから30m以内の場所、幅員14m以上の交通量の激しい道路では横断歩道から50m以内の場所)は、通常の道路に含まれません。この場所での交通事故は、また別の過失割合の基準が適用されます。
修正要素の加算について
一般には、通常の道路における交通事故とは、通常は歩行者が横断すべき場所とは考えられてはいない場所での交通事故と考えることができます。なお、最終的に定まる過失割合は、この基本過失割合に自己の特殊性を考慮した修正要素を考慮して決まります。
まず、交通事故のあった道路が幹線道路(片側2車線以上、幅員14m以上)であった場合、歩行者側に10%の加算要素となります。したがって、歩行者30%車70%となります。
また、道路上の歩行者の存在が予測されるのは大体午後9時か10時までですが、この時間帯以降の深夜などに事故が発生した場合、歩行者側の過失が5%加算され、歩行者25%車75%となります。同様に、事故が起こった場所が、横断禁止場所であった場合には、同じく歩行者側の過失が5%加算され、歩行者25%車75%となります。
修正要素の減算について
減算要素もあります。たとえば、歩行者が幼児・児童や老人であった場合、歩行者の過失割合は状況に応じて5%~最大20%まで減じられます。なお、原則として、幼児とは6歳未満の者、児童とは6歳以上13歳未満の者、老人とは65歳以上の者ですが、状況に応じてこの定義は加減されます。
また、同じように、車の運転手が飲酒をしていたり、無免許であったり、居眠りをしていた、著しい前方不注意があった、などの重過失があった場合、歩行者の過失が減じられます。
歩道以外にいる歩行者との事故の過失割合
歩道以外にいる歩行者を車ではねてしまった場合の過失割合
歩道以外の場所にいる歩行者と車の事故とは、路側帯上にいる歩行者の事故や歩行者専用道路における歩行者の事故、工事などにより歩行者の車道通行が許されている場合の事故、歩道と車道が区別されている道路で、歩行者が車道を歩いていた場合などがあります。
路側帯上・歩行者専用道路上の事故の場合
最初の、路側帯上の事故または歩行者専用道路上での事故の場合、基本過失割合は歩行者0%車100%です。なお、路側帯とは、歩道と車道が分離されていないような道路では、よく、道路の両側に白線が引いてあり、その部分の外側を歩行者が通行するように規制がされています。
その白線の外側の部分のことです。また、歩行者専用道路で歩行者と車が接触することも、考えにくいです。もちろん、車が交通標識を無視して侵入して事故が発生する場合もありますが、あくまで例外的な自体です。
ただし、歩行者専用道路は軽車両(自転車など)の通行は許可しているところが多くあります。歩行者専用道路上の事故とは、この自転車などの軽車両と歩行者の事故と考えることができます。
なお、このような状況下での事故の場合、基本過失割合に対する修正要素は考えにくいのですが、歩行者が歩行者専用道路内で予想外のフラフラ歩きをしていて、自転車と接触し、転倒して骨折したなどの交通事故が発生した場合には、基本割合が修正され歩行者10%車90%の過失割合となります。
歩行者が一時的に通行を許可された場所での事故の場合
次に、道路工事や土砂等の堆積物のなどのために、一時的に歩行者の車道通行が許可されている場合に、歩行者が車道通行中に車と衝突するという交通事故の過失割合は、歩行者10%車90%です。
最後に、歩道と車道が区別されている道路で、歩行者が歩道ではなく車道を歩いていた場合に発生した事故の過失割合は、まず、歩行者が歩道と車道の境界線(車道の側端)を歩いていた場合の基本過失割合は歩行者20%車80%です。
また、歩行者が歩道と車道の境界線以外の場所、すなわち、歩道から相当離れた車道側に入り込んだ部分を歩行中、事故に巻き込まれた場合の過失割合は、歩行者30%車70%です。この場合には、事故が夜間や幹線道路で起きた場合は5%、歩行者がフラフラ歩きをしていた場合には10%、それぞれ修正要素による加算があります。
信号機がない交差点での歩行者との事故の過失割合
信号機のない交差点での歩行者と車の事故の過失割合
信号機がなく、したがって、原則として横断歩道もない交差点で、車が歩行者と衝突した交通事故が発生した場合の過失割合について、それぞれの道路状況に応じて考えてみます。
幹線道路上や広狭差のある道路で広い方の道路上の事故の場合
まず、歩行者が幹線道路(片側2車線以上、幅員14m以上の道路のことです)や広狭差のある道路の広路の方を横断中に交通事故が起こったとします。この場合は、車が直進中に事故が起こった場合と車が右左折中に事故が起こった場合の二つのケースが想定されています。
まず、車が直進中に事故が起こった場合、基本過失割合は歩行者20%車80%です。一方、車が右左折中に事故が起こった場合には、歩行者10%車90%です。なお、ここで交差点での事故という場合には、歩行者が交差点からだいたい10m以内の部分を横断中に起こった事故ということです。
信号機のある交差点であれば、だいたい横断歩道がある場所です。交差点から10m以上離れたところで事故が起こった場合、交差点での事故ではなく、通常の道路を横断中の事故として取り扱われます。
幹線道路でない道路上や広狭差のある道路で狭い方の道路上の事故の場合
次に、幹線道路以外の道路、または広狭差のある道路の狭路を横断中に事故が起こった場合の過失割合は、歩行者10%車90%です。なお、この場合には、車が直進車であるか右左折者であるかを問わないで、同じ過失割合になります。なお、交差点によっては、交差する道路に優先関係を設けている場合があります。
通常は、交差する道路のうち、広い道路の方が優先されます。この交差点について、優先関係がない場合には、幹線以外の道路、または、広狭差のある道路の狭い方を歩行者が横断中の事故について、過失割合が歩行者15%車85%と定められています。
幹線道路以外または広狭差のある道路の狭い方を横断中の歩行者に起こった事故に比べて、幹線道路や広狭差のある道路の広い方を横断中の歩行者と車の接触事故の方が、車側の過失割合が高いのは、幹線道路などの方が、交通量も多く、横断する歩行者も危険が伴います。
危険が多い場所で事故を起こすよりも、危険が少ない場所で事故を起こす方が、より多くの責任が問われます。幹線道路での事故の方が、車の過失割合が高いのは、この関係を反映しています。
修正要素の加減について
なお、実際の事故は、基本過失割合のみでは正確な対応はできません。したがって、最終的な過失割合は、上記の基本的な過失割合に、事故の特殊な状況を反映させる修正要素による修正を加減して定まります。
信号機がある交差点での歩行者との自己の過失割合②
歩行者が横断歩道上を歩行していなかった場合の交通事故の過失割合
次に、信号機がある交差点での歩行者と車の交通事故で、歩行者が横断歩道上を歩行していなかった場合の過失割合について考えてみます。この場合については、おおよその部分は、信号機のある交差点での事故で、歩行者が横断歩道を歩行中に事故にあった場合の過失割合の基準が適用されます。
実質的に横断歩道上で事故があったものと同一視出来る場合
一般的には、横断歩道以外の場所で交通事故にあった場合には、横断歩道場で交通事故にあった場合よりも、歩行者が本来歩行すべき道路以外の道路を歩行していたわけですから、過失割合は歩行者側に不利に算定されます。
しかし、たとえば、歩行者が、横断歩道の1~2m程度離れた場所を歩行中に事故にあったとか、あるいは、車が横断歩道上に停車中であったため、それを避けるためにやむを得ず、横断歩道から外れて歩行中に、事故に巻き込まれた場合もあります。
その場合には、原則として、横断歩道上で事故にあったものとして過失割合が算定されます。実質的に、横断歩道上で事故にあったものと同一視することが可能だからです。
横断歩道外と判断される場所での事故の場合
なお、信号機のある交差点での歩行者と車の交通事故の場合で、歩行者が横断歩道から大幅に離れたところ、または、横断歩道ではないところを横断中に事故にあった場合には、歩行者が横断歩道上で事故にあった場合に比べて、歩行者側の過失割合が20%~30%加算されます。
たとえば、信号機のある交差点で、歩行者が黄信号で横断を開始し、車が青で交差点に侵入した上で左折しようとして、歩行者と衝突した場合、歩行者が横断歩道を歩行したいた場合には、歩行者の過失割合は30%です。
しかし、同じ状況で、歩行者が横断歩道から3mほど離れたところを横断中、事故に巻き込まれたとします。この場合には、歩行者側の過失割合が20%~30%ほど加算されますから、その場合の過失割合は50%~60%となります。
修正要素の加算について
なお、最終的な過失割合は、ここで算定された過失割合に修正要素が加えられます。修正要素は、加算要素(歩行者側の過失割合を増加させる要素)と減算要素(歩行者側の過失割合を減少させる要素)に分かれます。
加算要素について
主な加算要素としては、夜間、幹線道路、直前直後横断、警笛があります。まず、夜間とは、夜間など視界が悪く事故が起こりやすい状況下の事故では、車の側の過失を減じるため反射的に歩行者の過失が重くなります。
同じように、幹線道路でも、事故が起こりややすくなりますから、車側の過失を減じ歩行者の過失を重くします。車の直前直後の横断の場合、車の直前直後の横断は危険なのでやめましょうというルールに反して事故にあっているので、歩行者側の過失が重くなります。
また、事故の際に車が警笛を鳴らしていた場合、車側では事故回避義務を果たしており、過失が一部減じられ、その反射的効果として、歩行者側の過失が重くなります。
減算要素について
また、主な減算要素としては、児童、集団、著しい過失、歩車道の区別なしがあります。まず、児童とは、歩行者が児童や老人のような交通弱者である場合、判断能力の低さや身体能力の衰えなどを配慮して、事故の責任の一部が免ぜられる関係上、歩行者側の過失割合が減じられます。
また、歩行者が小学生の集団登下校のように集団で歩行していたにも関わらず、事故に巻き込まれた場合には、車側の責任が重くなり、その反射として歩行者の過失割合が減じられます。
事故当時、車の運転手が飲酒や薬物の影響を受けている状態だった場合、歩行者は自らが交通ルールを遵守していても事故に巻き込まれることが多くなります。よって、この場合には、歩行者の過失割合が減じられます。
最後の、歩車道の区別なしとは、歩車道の区別のない道路では、歩車道の区別がある道路に比べて、自動車が通行すべき道路部分があいまいで歩行者が事故に巻き込まれるおそれが高まります。したがって、そのような場所で事故が発生した場合には、歩行者側の過失割合を減じます。
これらの修正要素は、加算の場合も減算の場合も、各要素一つにつきだいたい5%~20%です。したがって、信号機のある交差点で、横断歩道外を歩行者が歩行中、交通事故に巻き込まれた場合の歩行者の過失割合は以下のようになります。
それは、信号機のある交差点において横断歩道上で歩行者が事故にあった場合の歩行者の過失割合に、横断歩道外の事故による修正(0%~30%程度)を加え、さらに、修正要素を加算または減算して、決定されたものになります。
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信号機がある交差点での歩行者との事故の過失割合
信号機のある交差点で、横断歩道を歩行中の歩行者と車の事故の過失割合
信号機がある交差点で、歩行者が横断歩道を歩行中に車と衝突した場合の、被害者に発生した損害額を算定するにあたり、考慮すべき過失割合について考えてみます。
このようなケースでは、歩行者が横断を開始した時点での信号の状態(赤・青・黄)と、車が横断歩道場を通過した時または交差点に進入した時の信号の状態により、基本的な過失割合が決まってきます。
歩行者と直進車が交通事故を起こした場合の過失割合
たとえば、歩行者が青信号で横断を開始し、車が赤信号で横断歩道を通過した状態で、両者が衝突して事故になった場合、歩行者の過失割合は0%です。車が信号無視をしていますので、当然にこの結果になります。
次に、歩行者が黄信号で横断を開始し、車が赤信号で横断歩道を通過した状態で、両者が衝突した場合の歩行者の過失割合は10%です。歩行者が赤信号で横断を開始し、車が青信号で横断歩道を通過した状態で事故を起こした場合は、歩行者の過失割合は70%です。
同じく歩行者が赤信号で横断を開始し、自動車が黄信号で交差点を通過した状態で事故が発生した場合、歩行者の過失割合は50%です。このように、歩行者が信号無視をして交通事故に遭った場合には、歩行者の過失割合は50%~70%と高い水準になります。
歩行者と右折車または左折車と交通事故を起こした場合の過失割合
次に、歩行者が横断歩道を横断中、右折してきたまたは左折してきた車にはねられるという事故はよく起こります。この場合にも、事故の状況に応じて基本的な過失割合が定められています。
まず、歩行者が青信号で横断を開始し、車が赤信号で交差点に進入した後右左折して、歩行者と車が衝突した場合、歩行者の過失割合は0%です。100%車のほうが責任を負います。次に、歩行者が黄信号で横断を開始し、車が青信号で交差点に進入し右左折をして事故を起こした場合、歩行者の過失割合は30%です。
同じく歩行者が黄信号で横断を開始し、車が黄信号で交差点に進入し右左折をして事故を起こした場合、歩行者の過失割合は20%です。最後に、歩行者が赤信号で横断を開始し、車が赤信号で交差点に侵入し右左折をして事故を起こした場合、歩行者の過失割合は20%です。
信号残りがある場合の事故の過失割合
また、歩行者が青信号で横断を開始したが、途中で赤信号に変わることもよくありますが、この状態(信号残りといいます。)で交通事故を起こした場合についても、赤信号に変わったのはどの場面についてかということを基準に、各ケースについて、歩行者の過失割合が定められています。
それは、たとえば、安全地帯の通過直後に赤信号に変わり、そのまま横断を続けて事故にあった場合、歩行者の過失割合は30%です。赤信号に変わった時が、だいたい横断歩道の中央部分まで歩行者がきた状態であり、その状態で横断中に事故にあった場合、歩行者の過失割合は20%です。
同じ状況で、信号が変わったのが横断終了直前であり、その状態で事故に巻き込まれた場合の歩行者の過失割合は10%です。この場合が、歩行者の過失割合が一番低くなります。
信号の表示で決まる過失割合
このように、信号機のある交差点で、歩行者が横断歩道を横断中に、車と衝突して事故を起こした場合の過失割合は、主として、歩行者が横断を開始した時点での信号機の色と、車が横断歩道上を通過した時または交差点に進入した時の信号機の色で決まります。
修正要素について
なお、過失割合は、修正要素というものがあります。過失割合の基本的な水準は、歩行者や車が信号に従ったかどうかということで決まります。しかし、実際の交通事故は、歩行者や車が信号にしたがって通行したかどうかということの他にも、さまざまな要素が働きます。
たとえば、事故が起きたのは昼か夜かとか、事故が起きた道路は幹線道路か生活道路か、歩行者や車の運転手は老人かそれとも若者か、車の運転手には著しい過失や重過失があったかどうか、などです。これらは、過失割合を高める効果のある事項を加算要素、過失割合を減ずる効果を持つものを減算要素といいます。
これらの修正要素は、信号に従ったか否かで定まる基本的な過失割合を、加算の場合も減算の場合も5%~20%の範囲内で変更する効力を持ちます。したがって、最終的な過失割合は、基本的な過失割合に修正要素による加算または減算を行い、最終的に定まります。
車と歩行者の事故の過失割合
優者危険負担の原則について
車と歩行者の自己の過失割合について考えてみます。車と歩行者が交通事故の当事者となった場合、原則として、車のほうがより多く危険の負担を負います。これは「優者危険負担の原則」というものがあるためです。
これは、車と人ならば車が、同じく車とバイクならば車が、若者と老人や子供では若者が、というようにより交通事故に関してより強いものがより多くの責任を負うという原則です。
この原則により、車と歩行者の場合、事故の原因が完全に歩行者にあるような場合でも、歩行者の過失割合は原則として70%を超えることはありません。反対に、車の方は、事故についてまったく責任がないような場合でも、安全運転義務違反などで30%の過失割合を負担します。
歩行者と車の事故の3類型
さて、歩行者と車の交通事故に関しては、大きく分けて3つの事故の類型があります。
- 横断歩道上の歩行者と車の事故
- 横断歩道外の歩行者と車の事故
- 対向または同一方向歩行中の歩行者と車の事故
です。また①はさらに、①(a)信号機のある横断歩道上の事故、①(b)信号機のない横断歩道上の事故に分かれます。
横断歩道上の歩行者と車の事故について
まず、①(a)の信号機のある横断歩道上の事故の場合、歩行者側が赤信号で車側が青信号で事故を起こした場合の歩行者70%自動車30%から、歩行者側が青信号で車側が赤信号の歩行者0%自動車100%まで、事故を起こした時の信号の状態を基準として、それぞれの過失割合が定められています。
次に、①(b)の信号機のない横断歩道上の事故については、まず、横断歩道歩行中の歩行者に対して車は一時停止をしなくてはなりません。この義務に違反して事故を起こした場合、歩行者が0%車が100%の過失割合になります。
また、歩行者側の過失として、横断歩道付近で横断歩道外を歩行中に事故にあった場合は歩行者30%車70%、幅の広い幹線道路の横断歩道を横断中に事故にあった場合は歩行者20%車80%、車からは歩行者の発見が困難な場所で事故にあった場合の歩行者10%車90%などと定められています。
横断歩道外の歩行者と車の事故について
②横断歩道外の車と歩行者の事故については、横断歩道から相当離れたところや横断歩道のないところを横断中に事故にあった場合、歩行者に20%~30%の過失相殺がなされます。信号機のない交差点での横断中に事故のあった場合、歩行者に10%~20%の過失相殺がなされます。このように規定されています。
対向または同一方向歩行中の歩行者と車の事故について
③の対向または同一方向歩行中の歩行者と車の事故の場合、たとえば、歩道歩行中に交通事故にあった歩行者の過失割合は0%、歩道のある道路で歩道歩行中に事故にあった歩行者の過失割合は10%と定められています。
また、同じケースで、歩道のある道路で車道歩行中に事故にあった歩行者の過失割合は10%~30%、道路上で車から容易に発見できる場所に寝ていて事故にあった場合の歩行者の過失割合は20%、夜間に道路上に寝ていて交通事故にあった場合の歩行者の過失割合は50%、などと定められています。
なお、上記のいずれの場合においても、夜間、児童・幼児・老人、居眠り運転、酒酔い運転、幹線道路など、交通事故に関して特殊な事情がある場合には、修正要素として、上記の基本的な過失割合に加算や減算が行われます。