車とバイクとの事故をケース別に対応方法を徹底解説!

車とバイクとの事故

記事監修者紹介
ファイナンシャルプランナー髙橋洋子髙橋 陽子
日本生命保険相互会社にて3年半以上勤務し、年間100組以上のコンサルティングを行う。
その後、2019年4月より当メディアにて保険をはじめとする金融記事の監修を務める。

開けられた車のドアにバイクが追突した場合の過失割合

開けられた車のドアにバイクが追突する事故について

車が、道路上で停車中、後方を十分に確認することなく、ドアを開けた場合、そのドアが、車の右側または左側を車を回避して走行するバイクと接触、バイクが転倒し、バイクの運転者が大怪我をするというような事故が起こることがあります。

開けられたドアにバイクが追突する事故の過失割合

このような、開けられたドアにバイクが追突する事故の過失割合について考えてみます。この事故の基本となる過失割合は、バイク10%車90%です。後方を十分に確認することなくドアを開けた車側が大半の過失責任を負います。

なお、この過失割合は、車が右側のドアをあけ、車の右側を走行中のバイクがそれに追突する事故の場合も、反対に、車が左側のドアを開け、車の左側を走行中のバイクがそれに追突した場合も、過失割合は同じです。

ところで、車がドアを開けたのが、バイクが接近する直前で、バイクがドアを回避する余地がほとんどない状態であったとすると、車の過失割合が更に高くなります。この場合の過失割合は、バイク0%車100%です。すべての過失責任を車が負うことになります。

また、停車中の車がハザードランプを点灯させていたりして、後方からくるバイクが、車のドアの開放を予測させるような事情があった場合は、今度は、バイク側に5%~10%程度の過失割合が加算されます。そのような事情があった場合には、過失割合は、バイク15%~20%車85%~80%となります。

バイク側にドアの開放を予測させるような事情があった場合には、ドアの開放がバイク接近の直前でない限り、バイクは十分に事故を回避できたはずです。それにもかかわらず、事故が発生した場合には、バイク側もその責任をより多く負わされます。

転回中に衝突した場合のバイクとの事故の過失割合

転回中に衝突したバイクと直進してくる車の事故について

道路上でUターンするバイクと、Uターン前の車両の進行方向と同一方向、または反対方向から直進してくる車とが、接触事故を起こすことがあります。このような、転回するバイクと直進する車との事故の過失割合について考えてみます。

バイクが転回車、車が直進車で事故が起きた場合の過失割合

まず、バイクが転回車、車が直進車で、事故が発生した場合を想定します。このような事故は、事故発生時のバイクと車の状況に応じて、大きく分けて2類型が存在します。

まず、第1は、バイクが転回中、転回前のバイクの進行方向と同一方向を直進する車、または、対向車線において、転回前のバイクの進行方向と反対方向から直進してくる車に、はねられる場合です。第2は、バイクが転回を終了した後に、バイクの転回前の進行方向の反対方向から直進してくる車にはねられる事故の場合です。

第1の場合の事故の過失割合は、バイク70%車30%です。なお、バイクが転回時に転回の合図をしなかった場合には、バイク側の過失が認められるため、過失割合はバイク75%車25%となります。

第2の場合の事故の過失割合は、バイク60%車40%です。この場合も、バイクが転回時に転回の合図をしなかった場合には、バイク側の過失が認められ、過失割合はバイク65%車35%となります。

車が転回車、バイクが直進車で事故が起きた場合の過失割合

今度は反対に、車が転回車、バイクが直進車で、事故が発生した場合を想定します。このような事故も、事故発生時のバイクと車の状況に応じて、大きく分けて2類型が存在します。

まず、第1は、車が転回中、転回前の車の進行方向と同一方向を直進するバイク、または、対向車線において、転回前の車の進行方向と反対方向から直進してくるバイクと、衝突する場合です。第2は、車が転回を終了した後に、車の転回前の進行方向の反対方向から直進してくるバイクにはねられる事故の場合です。

第1の場合の事故の過失割合は、バイク10%車90%です。なお、車が転回時に転回の合図をしなかった場合には、車側の過失が認められるため、過失割合はバイク0%車100%となります。

第2の場合の事故の過失割合は、バイク20%車80%です。この場合も、車が転回時に転回の合図をしなかった場合には、車側の過失が認められ、過失割合はバイク15%車85%となります。

先行するバイクが急ブレーキをかけた場合の事故の過失割合

先行するバイクが急ブレーキをかけ、後続の車が追突した場合の過失割合

巡航速度、すなわち、見通しの良い直線道路では時速50km~60km程度の速度で走行中のバイクが、理由もなく合図もなく、突然に急ブレーキをかけたとします。そのため、後続の車が、そのバイクに追突するという交通事故があります。このような事故の過失割合について考えてみます。

この急ブレーキをかけてバイクと、後続の車の事故の過失割合はバイク10%車90%です。この場合、理由もなく合図もなく急ブレーキをかけたバイクの過失割合が低すぎるようにも思われます。

しかし、道路交通法第26条では、車両の直後を走行する車両は、前の車両が急停止した場合でも、追突しないように十分な車間距離を保持しなければならないと規定されています。

この規定により、後続の車に、追突回避の義務が生じるため、このような後続車両に不利な過失割合になります。

先行する車が急ブレーキをかけ、後続のバイクが追突した場合の過失割合

なお、反対に、巡航速度で走行し先行する車が、理由もなく合図もなく急ブレーキをかけ、後続のバイクが、先行車を避けきれず追突し、事故となった場合を考えます。このケースのバイクと車の過失割合は、バイク50%車50%です。

バイクは、車に比べて、急停車が困難です。バイクにも道路交通法第28条の車間距離の保持義務が課せられます。しかし、急停車が困難であることが考慮され、前を走る車の急ブレーキによる追突事故を起こした場合の過失割合が、大幅に軽減されています。

また、このような事故の場合、追突した後続バイクの運転者が、道路上に放り出されるなどして、重傷を負うケースが多発します。このことも、この事故の場合のバイクの過失割合が車に比べて低いことの背景となります。

対向直進するバイクとの事故の過失割合

バイクがセンターラインを超えて走行、対向車と衝突する事故の過失割合

対向直進するバイクと車の事故とは、簡単に言えば、対向車線を走行しているバイクが、センターラインを超えて、車側の車線に入り込み、車と正面衝突をしてしまうという事故のことです。

この場合の過失割合は、原則として、バイク100%車0%です。ただし、車側に、酒気帯び運転、前方不注意、ブレーキを踏むなどの危険回避行為を怠ったなどの過失がある場合には、バイクの過失割合が1項目につき10%~20%程度減算されます。

また、センターラインのないような道路で同様の事故があった場合には、仮にバイクに対向する車が道路の左側を通行していたとしても、その車に対して対向車に対する注意がそれなりに求められますので、バイク100%車0%の過失割合ではなく、車側にも若干の過失割合が付く場合もあります。

車がセンターラインを超えて走行、対向バイクと衝突する事故の過失割合

なお、反対に、車がセンターラインを超えて走行し、対向車線を直進中のバイクをはねてしまった場合の過失割合は、バイク0%車100%です。このように、バイクでも車でも、センターラインを超えて対向車線に侵入し、対向車と衝突事故を起こした場合には、センターラインを超えた側が、原則として100%の事故の責任を負います。

ちなみに、停車中のバスを追い越すためにセンターラインを超えて走行し、対向車と衝突事故を起こした場合、事故原因が、走行の障害となっていたバスにもあると考えられるため、センターラインを超えた車両の過失割合が減算されるように思われるかもしれません。

しかし、この場合でも、停車中のバスが悪いとの主張は認められず、センターラインを超えて対向車線にはみ出した側の事故の過失割合が100%となりますから、注意が必要です。

車線変更の際に発生したバイクとの事故の過失割合

バイクが車線変更し、後続の車と衝突する事故の過失割合

バイクが車線変更した際に、車と接触事故を起こすことがあります。この事故について、バイクが車の前方を走行中、車線変更により、後続の車に追突された場合を想定すると、過失割合は、バイク60%車40%です。

バイクは、車体が小さいため、車に比べて進路変更が非常に簡単です。実際の道路上でも、特に渋滞中の道路などでは、頻繁に進路変更を繰り返すバイクをよく見かけます。

よく割り込みなどと言いますが、突然後方から割り込んでくるバイクの発見が遅れて、車側がそのバイクをはねてしまった場合、原則として40%の過失割合を負担しなくてはなりません。特に、渋滞中の幹線道路では、この手の事故が起こりやすくなっておりますので、十分な注意が必要です。

なお、交差点の手前などでは、よく導流帯が設けられています。この導流帯は、車両の流れをスムーズにするために設けられているもので、直進車は原則として走行できません。

バイクが車線変更した際に、後続の直進車がこの導流帯を走行しており、それで事故が発生していた場合には、当然に、後続の車の自己の過失割合が高くなります。この場合は、車の過失割合が10%~20%程度加算されます。

車が車線変更し、後続のバイクと衝突する事故の過失割合

最後に、先行する車が車線変更し、後続するバイクと接触する事故の過失割合について述べておきます。この場合は、バイク20%車80%です。この場合も、後続のバイクが導流帯を走行していた場合には、バイクの過失割合が10%~20%程度加算されます。

追い越されたバイクとの事故の過失割合

追い越したバイクと、追い越された車の事故の過失割合

バイクが車を追い越す場面にはよく出会います。そのように、バイクが車を追い越した直後、十分な車間距離を保てず、追い越された車に追突されるという事故が起こる場合があります。

車を追い越した後は、追い越した車から十分な距離をとった前方に、車線変更により進入すべきです。追い越した車の直前に車線変更で入り込むことは非常に危険です。

しかし、ムリな追い越しの場合で、対向車との正面衝突を避けるために車線変更のタイミングを早めたため、追い越された車両と十分な車間距離を確保できず、その車に追突される場合があります。この場合の事故の基本過失割合は、バイク70%車30%です。

なお、事故を起こした追い越しの場所が、追い越し禁止区域であった場合には、当然のことながら、追い越したバイクの過失割合が大きくなります。その場合の過失割合は、バイク80%車20%です。

車側にも20%~30%程度の過失割合が発生するのは、道路交通法第27条では、ほかの車両に追いつかれた車両の義務が規定されています。その中では、他の車両に追いつかれた車両は、速度を増してはならないだとか、道路の左側に寄らねばならないだとかが、規定されています。
 
追い越したバイクを車が追突した場合には、車側にも、道路交通法第27条で規定する他の車両に追いつかれた車両の義務違反が推定されます。このために、事故を起こした車の側にも、若干の過失の責任が負わされるものと考えられます。

ムリに追い越しをかけられて事故に巻き込まれた上、損害賠償金の負担を要求されるのはムリな話ですが、追い越される車両に対しても安全運転に対する配慮が義務付けられている以上、やむを得ないことです。

路外に出入りするバイクとの過失割合

路外に出入りするバイクと直進する車との事故の過失割合

駐車場などの路外に出入りするバイクと、直進する車との交通事故の過失割合について考えてみます。路外への右折等の場合には、交差点とは違った過失割合に関する規定が適用されます。

この事故の類型は大きく分けて2つあります。第1は、バイクが路外から右左折により道路に進入しようとして、道路を直進する車と衝突する交通事故の場合です。第2は、反対に、バイクが路外に出ようとして、道路を右折中、対向方向から直進してくる車と衝突するという交通事故の場合です。

まず、第1の場合、すなわち、路外から右左折により道路上に進入したバイクと、道路上を直進する車との事故の過失割合は、バイク70%車30%です。第2の場合、すなわち、バイクが路外に出ようとして右折中、対向方向からくる車にはねられる事故の過失割合は、バイク70%車30%です。

路外に出入りする車と直進するバイクとの事故の過失割合

今度は、駐車場などの路外に出入りする車と、直進するバイクとの交通事故の過失割合について考えてみます。路外へ出入りする車とバイクの事故についても、交差点に関する過失割合の規定とは別の規定が適用されます。

この事故の類型も大きく分けて2つあります。第1は、車が路外から右左折により道路に進入しようとして、道路を直進するバイクと衝突する交通事故の場合です。第2は、反対に、車が路外に出ようとして、道路を右折中、対向方向から直進してくるバイクと衝突するという交通事故の場合です。

まず、第1の場合、すなわち、路外から右左折により道路上に進入した車と、道路上を直進するバイクとの事故の過失割合は、バイク10%車90%です。第2の場合、すなわち、車が路外に出ようとして右折中、対向方向からくるバイクにはねられる事故の過失割合は、バイク10%車90%です。

T字路でのバイクとの事故の過失割合

T字路で、直進するバイクと右左折する車との事故の過失割合

T字路で、直進車がバイク、交差道路側から右左折するのが車で、このバイクと車が交通事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。T字路でも、見通しが良くないと、衝突事故が多発します。

この場合には、道路状況に応じて4タイプが存在します。

  1. 道路幅がほぼ同じ場合
  2. 広狭差があるT字路で、バイクが広い道路を直進、車が狭い道路から右左折した場合
  3. 車側に一時停止規制がある場合
  4. バイクが優先道路を直進していた場合

まず、①の道路幅がほぼ同じT字路で、直進バイクと右左折車の事故の過失割合は、バイク20%車80%です。直進バイクの進行を妨害した車の過失割合が大きのが特徴です。

②の広狭差のあるT字路で、広路を直進中のバイクと、狭路から右左折してくる車の事故の過失割合は、バイク10%車90%です。①より、さらに車の過失割合が増します。

③の、車側に一時停止規制がある場合の事故の過失割合はバイク10%車90%です。一時停止規制がある道路側から進入する車両の過失割合は高くなる傾向があります。

④のバイクが優先道路を直進し、非優先道路から右左折してくる車と事故を起こした場合の過失割合はバイク10%車90%です。優先道路を走行中の車両の通行を妨げると、高い過失割合を負担します。

T字路で、バイクと車の双方が右左折して起こした事故の過失割合

次に、T字路で、バイクと車の双方が右折して交通事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。信号機のない交差点では、このような右左折車同士の事故が起こります。

この場合も、道路状況に応じて4タイプが存在します。

  1. 道路幅がほぼ同じ場合
  2. 広狭差があるT字路で、バイクが広い道路から右折、車が狭い道路から右折した場合
  3. 車側に一時停止規制がある場合
  4. バイクが優先道路から右折していた場合

まず、①の道路幅がほぼ同じT字路で、右折バイクと右折車の事故の過失割合は、バイク30%車70%です。ここでは、バイク側の過失割合が、同じ条件で事故を起こした車よりも低く設定されています。

②の広狭差のあるT字路で、広路から右折したバイクと、狭路から右折してくる車の事故の過失割合は、バイク20%車80%です。広路側から右折するバイクの過失割合が、①に比べ、低くなっています。

③の、車側に一時停止規制がある場合の事故の過失割合はバイク15%車85%です。一時停止規制のある道路から進入する方が、より多くの交通安全に対する配慮義務を負う関係を反映しています。

④のバイクが優先道路から右折し、非優先道路から右折してくる車と事故を起こした場合の過失割合はバイク10%車90%です。非優先道路から進入する方が、より多くの交通安全に対する配慮義務を負う関係を反映しています。

T字路で、直進する車と右左折するバイクとの事故の過失割合

今度は反対に、T字路で、直進車が車、交差道路側から右左折するのがバイクで、このバイクと車が交差点内で交通事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。

この場合も、道路状況に応じて4タイプが存在します。

  1. 道路幅がほぼ同じ場合
  2. 広狭差があるT字路で、車が広い道路を直進、バイクが狭い道路から右左折した場合
  3. バイク側に一時停止規制がある場合
  4. 車が優先道路を直進していた場合

まず、①の道路幅がほぼ同じT字路で、直進する車と右左折するバイクの事故の過失割合は、バイク60%車40%です。バイクの方が負担する過失割合が相当に高くなります。

②の広狭差のあるT字路で、広路を直進中の車と、狭路から右左折してくるバイクの事故の過失割合は、バイク70%車30%です。直進車が広路を直進中の場合、①よりさらにバイクの過失割合が高くなります。

③の、バイク側に一時停止規制がある場合の事故の過失割合はバイク75%車25%です。一時停止規制がある道路から進入する車両は、より多くの交通安全に対する配慮義務を負う関係を示しています。

④の車が優先道路を直進し、非優先道路から右左折してくるバイクと事故を起こした場合の過失割合はバイク80%車20%です。非優先道路から進入する車両は、より多くの交通安全に対する配慮義務を負う関係を示しています。

渋滞中の車両間のバイクとの事故

渋滞中の車両間から出てくるバイクと車との事故の過失割合

交差点などで、渋滞する車両を追い越して直進するバイクと、右折する車が衝突する場合があります。渋滞する車を追い越してくるバイクを、交差点を右折中の車から発見するのは容易ではなく、右折する車側が、渋滞する車両の影からバイクの飛び出しがあると予測していないと、このタイプの交通事故を起こし易くなります。

なお、信号機のない交差点では、右折する車はもちろんですが、交差道路を直進する車も、車の陰から飛び出すバイクの発見が遅れて、このタイプの事故を起こすことがあります。

このタイプの事故の基本となる過失割合を考える場合には、車と接触するバイクが走行していた道路の状況に応じて、大きく分けて2種類のケースが想定されています。

まず、第1の場合は、直線道路側に2輪車専用道路が設けられていたり、あるいは、バイクが走行していた直線道路の左側の部分が広い場合の事故です。このような道路状況での、渋滞車をすり抜ける直進バイクと、右折する車や交差道路を直進する車との事故の過失割合は、バイク20%車80%となります。

第2の場合は、バイクが走行していた直線道路の左側の部分が、バイクがようやく走行できる程度に狭い道路での事故の場合です。このような道路状況での、渋滞車をすり抜ける直進バイクと、右折する車や交差道路を直進する車との事故の過失割合は、バイク30%車70%となります。

修正要素による修正について

なお、このタイプの事故に関しても、当然のことながら、修正要素による過失割合の修正が行われます。この修正要素のうち、代表的なのもが、交差点ではない場所での事故の場合です。

このタイプの事故は、交差点で起こる場合がほとんどです。しかし、交差点でない場所で発生する場合もあります。たとえば、片側2車線以上の幹線道路などで、駐車場などへ右折して入ろうとする場合、対向車線が渋滞していれば、その影を走行するバイクの発見は困難となります。

そこで、渋滞する車両の隙間を急いで右折する間に、車の陰から飛び出してくるバイクをはねる場合があります。この事故の場合には、交差点でもない場所で右折した車の責任がより重く評価されます。よって、車の過失割合が10%程度高く修正されます。

左折するバイクと直進車との事故の過失割合

左折するバイクと直進車との事故の過失割合

交差点において、左折するバイクと直進する車の事故には、2類型があります。第1は、バイクが先に左折して、後から直進してきた車に追突される事故です。第2は、追い越し左折と言いますが、交差点の直近でバイクが車を追い越し、そのまま交差点内で左折中に、追い越した車に追突される事故の場合です。

第1の場合、すなわち、バイクが先に左折し、後から直進してくる車に追突された場合の過失割合は、バイク60%車40%です。第2の場合、すなわち、交差点の直近でバイクが車を追い越した上左折し、追い越された車に追突された事故の過失割合は、バイク80%車20%です。

なお、追い越し左折は、非常に危険な行為であり、これによりバイクが事故を起こした場合には、バイク側が重い責任を負わされます。ムリな追い越し左折は厳に慎むよう十分な注意が必要です。

左折する車と直進バイクとの事故の過失割合

ちなみに、左折する車と直進するバイクとの事故の過失割合についても述べておきます。この場合も2類型があります。第1は、車が先に右折して、後続の直進するバイクに追突された事故の場合、第2は、交差点の直近で車がバイクを追越し、そのまま左折した時に、追い越したバイクに追突される事故の場合です。

第1の場合、すなわち、車が先に左折し、後から直進してくるバイクに追突された場合の過失割合は、バイク20%車80%です。第2の場合、すなわち、交差点の直近で車がバイクを追い越した上左折し、追い越されたバイクに追突された事故の過失割合は、バイク10%車90%です。

右折車と右折するバイクとの事故の過失割合

右折車と右折するバイクの事故の過失割合

信号機がない交差点で、右折する車と右折するバイクの交通事故の過失割合について考えてみます。なお、信号機のある交差点では、交差する道路からそれぞれ右折で進入してくる車とバイクが事故を起こすことは、一方が信号無視をした場合を除いて、考えられませんので、ここでは触れないことにします。

このタイプの事故について、代表的な4つの状態に関して、その基本過失割合について考えてみます。代表的な4つの状態とは、いずれもバイクが左方車となるもののうち、以下のものです。

  1. 交差する道路の幅員が同程度の交差点での事故の場合
  2. 交差する道路に広狭差がある交差点での事故
  3. 交差する道路の一方に一時停止規制がある交差点での事故
  4. 交差する道路の片方が優先道路である交差点での事故

まず、①の交差する道路の幅員が同程度の交差点で、左方車となる右折バイクと、右折する車の事故の過失割合は、バイク30%車70%です。ここでは左方車優先の原則が作用します。

次に、②の交差する道路に広狭差がある交差点で、広路側から進入して右折、左方車となるバイクと、狭路側から進入して右折する車との事故の過失割合は、バイク60%車40%です。

続いて、③の交差する道路の一方に一時停止規制がある交差点で、一時停止規制がある道路から進入右折し左方車となるバイクと、一時停止規制のない道路から進入および右折をする車との事故の過失割合は、バイク65%車35%です。

最後に、④交差する道路の片方が優先道路である交差点で、非優先道路から進入および右折し、左方車となるバイクと、優先道路から進入および右折をする車との事故の過失割合は、バイク70%車30%です。

信号機のない交差点で右折するバイクと直進車の事故の過失割合

信号機のない交差点で右折するバイクと直進する車との事故の過失割合

信号機のない交差点で、右折するバイクと直進する車との事故の過失割合について考えてみます。信号機のない交差点では、右折する車両がタイミングを誤り、よく衝突事故が起こります。

この場合には、交差点の状況に応じて4つのパターンがあります。

  1. 道路幅がほぼ同じ交差点の場合
  2. 交差道路の一方が明らかに広い交差点の場合
  3. 交差道路の一方に一時停止規制がある交差点の場合
  4. 交差道路の一方が優先道路である交差点の場合

道路幅がほぼ同じ交差点での事故の場合

まず、①の道路幅がほぼ同じ交差点での交通事故について考えます。この交差点で、右折するバイクと直進する車が、同一の道路上を対向して走行中に起こした事故の過失割合は、バイク60%車40%です。

また、右折するバイクと直進する車が、それぞれ交差する道路を走行中に事故が起きた場合には、車から見てバイクが左方車である事故の過失割合はバイク50%車50%です。反対に、車から見てバイクが右方車である事故の過失割合はバイク60%車40%です。

交差道路の一方が明らかに広い交差点での事故の場合

次に、②の交差道路の一方が明らかに広い交差点での交通事故について考えます。この交差点で、バイクが広路から狭路へ右折し、狭路を直進中の車と交通事故を起こした場合の過失割合は、車から見てバイクが左方車となる場合はバイク30%車70%です。反対に、車から見てバイクが右方車となる場合には、バイク40%車60%です。

また、この交差点で、バイクが狭路から広路へ右折し、広路を直進中の車と事故を起こした場合の過失割合は、バイク60%車40%です。この場合には、バイクから見て車が右方車でも左方車でも、過失割合に変化はありません。

交差道路の一方に一時停止規制がある交差点での事故の場合

続いて、③交差道路の一方に一時停止規制がある交差点での交通事故について考えます。このような交差点では、原則として、一時停止規制のある側から進入して事故を起こした車両の過失割合が高くなります。

この交差点で、バイクが一時停止規制のない道路から一時停止規制のある道路へ右折し、一時停止規制のある道路を直進中の車と交通事故を起こした場合の過失割合は、車から見てバイクが左方車となる場合はバイク25%車75%です。反対に、車から見てバイクが右方車となる場合には、バイク35%車65%です。
 
また、この交差点で、反対に、バイクが一時停止規制のある道路から一時停止規制のない道路へ右折し、一時停止規制のない道路を直進中の車と事故を起こした場合の過失割合は、バイク65%車35%です。この場合には、バイクから見て車が右方車でも左方車でも、過失割合に変化はありません。

交差道路の一方が優先道路である交差点での事故の場合

 
最後に、④の交差道路の一方が優先道路である交差点での交通事故について考えます。このような交差点では、原則として、非優先道路から交差点に進入して事故を起こした車両の過失割合が高くなります。

この交差点で、バイクが優先道路から非優先道路へ右折し、非優先道路を直進中の車と交通事故を起こした場合の過失割合は、車から見てバイクが左方車となる場合はバイク20%車80%です。反対に、車から見てバイクが右方車となる場合には、バイク30%車70%です。
 
また、この交差点で、バイクが非優先道路から優先道路へ右折し、優先道路を直進中の車と事故を起こした場合の過失割合は、バイク70%車30%です。この場合には、バイクから見て車が右方車でも左方車でも、過失割合に変化はありません。

信号機のない交差点で右折する車と直進するバイクとの事故の過失割合

今度は反対に、信号機のない交差点で、右折する車と直進するバイクとの事故の過失割合について考えてみます。信号機のない交差点では、右折のタイミングを誤った車両と直進車両との事故が多発します。

この場合も、交差点の状況に応じて4つのパターンがあります。

  1. 道路幅がほぼ同じ交差点の場合
  2. 交差道路の一方が明らかに広い交差点の場合
  3. 交差道路の一方に一時停止規制がある交差点の場合
  4. 交差道路の一方が優先道路である交差点の場合

道路幅がほぼ同じ交差点での事故の場合

まず、①の道路幅がほぼ同じ交差点での交通事故について考えます。この交差点で、右折する車と直進するバイクが、同一の道路上を対向して走行中に起こした事故の過失割合は、バイク15%車85%です。

また、右折する車と直進するバイクが、それぞれ交差する道路を走行中に事故が起きた場合には、バイクから見て車が左方車である事故の過失割合はバイク30%車70%です。反対に、バイクから見て車が右方車である事故の過失割合はバイク20%車80%です。

交差道路の一方が明らかに広い交差点での事故の場合

次に、②の交差道路の一方が明らかに広い交差点での交通事故について考えます。この交差点で、車が広路から狭路へ右折し、狭路を直進中のバイクと交通事故を起こした場合の過失割合は、バイクから見て車が左方車となる場合はバイク50%車50%です。反対に、バイクから見て車が右方車となる場合には、バイク40%車60%です。

また、この交差点で、車が狭路から広路へ右折し、広路を直進中のバイクと事故を起こした場合の過失割合は、バイク15%車85%です。この場合には、バイクから見て車が右方車でも左方車でも、過失割合に変化はありません。

交差道路の一方に一時停止規制がある交差点での事故の場合

続いて、③交差道路の一方に一時停止規制がある交差点での交通事故について考えます。
一時停止規制のある交差点の事故では、一方の道路に一時停止規制のある交差点では、一時停止規制のある道路側から進入する車両により重い交通安全に対する配慮義務が課されます。

この交差点で、車が一時停止規制のない道路から一時停止規制のある道路へ右折し、一時停止規制のある道路を直進中のバイクと交通事故を起こした場合の過失割合は、バイクから見て車が左方車となる場合はバイク55%車45%です。反対に、バイクから見て車が右方車となる場合には、バイク45%車55%です。
 
また、この交差点で、反対に、車が一時停止規制のある道路から一時停止規制のない道路へ右折し、一時停止規制のない道路を直進中のバイクと事故を起こした場合の過失割合は、バイク10%車90%です。この場合には、バイクから見て車が右方車でも左方車でも、過失割合に変化はありません。
 

交差道路の一方が優先道路である交差点での事故の場合

 
最後に、④の交差道路の一方が優先道路である交差点での交通事故について考えます。一方の道路が優先道路である交差点では、非優先道路の方から進入する車両に対して、より重い交通安全に対する配慮義務が課されます。
 
この交差点で、車が優先道路から非優先道路へ右折し、非優先道路を直進中のバイクと交通事故を起こした場合の過失割合は、バイクから見て車が左方車となる場合はバイク60%車40%です。反対に、バイクから見て車が右方車となる場合には、バイク50%車50%です。
 
また、この交差点で、車が非優先道路から優先道路へ右折し、優先道路を直進中のバイクと事故を起こした場合の過失割合は、バイク10%車90%です。この場合には、バイクから見て車が右方車でも左方車でも、過失割合に変化はありません。

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信号機がある交差点での右折するバイクと直進車の事故の過失割合

信号機のある交差点で右折するバイクと直進する車の事故の過失割合

信号機のある交差点で右折するバイクと直進する車との事故の過失割合について考えてみます。この場合の過失割合は、バイクと車が交差点に進入したときの信号機の表示(右折中に表示が変化した場合も含む)で大部分が決まります。
 

直進する車が青信号で交差点に進入していた場合の事故の過失割合

まず、直進する車が青信号で交差点に進入して事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。ここでは、相手側の右折するバイクが青信号で交差点に侵入するケースしか想定できません。そこで、この場合の事故の過失割合はバイク60%車40%です。

次に、直進する車が黄信号で交差点に進入して事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。ここでは、相手側の右折するバイクが青信号で交差点に進入し右折中に黄信号に変わった場合と、右折中のバイクが黄信号で交差点に進入した場合の2つのケースが想定されます。

まず、直進車が黄信号、右折バイクが青信号→黄信号で、事故が起きた場合の過失割合は、バイク25%車75%です。次に、直進車が黄信号、右折バイクが黄信号で、事故が起きた場合の過失割合は、バイク50%車50%です。

直進する車が赤信号で交差点に進入していた場合の事故の過失割合

最後に、直進する車が赤信号で交差点に進入して事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。これは、車が信号無視をして交差点に入ってきた場合の事故の過失割合ということです。

この場合、相手方の右折バイクには以下の4ケースが想定されます。

  1. 赤信号で右折可の青矢印で交差点に進入した場合
  2. 青信号で進入し右折中に赤信号に変わった場合
  3. 黄信号で交差点に進入し右折中に赤信号に変わった場合
  4. 赤信号で交差点に進入した場合

まず、①の場合、すなわち、車が赤信号で交差点進入、右折バイクが青矢印で交差点進入の状態で事故となった場合の過失割合は、バイク0%車100%です。車が信号無視をしていますので、完全に車側が過失責任を負います。

②の場合、すなわち、車が赤信号で交差点進入、右折バイクが進入時青信号、右折時赤信号で、事故となった場合の過失割合は、バイク10%車90%です。バイクの進入時青信号でも、事故が起きたとき赤信号になっていたので、バイクが若干の過失責任を負います。

③の場合、すなわち、車が赤信号で交差点侵入、右折バイクが進入時黄信号、右折時赤信号で、事故となった場合の過失割合は、バイク20%車80%です。バイクが青信号で交差点に進入していた場合より、バイクの過失割合が高まります。

④の場合、すなわち、車が赤信号で交差点侵入、右折バイクが赤信号で交差点侵入で、事故となった場合の過失割合は、バイク40%車60%です。バイクも信号無視をして交差点に入っていた場合、バイクと車の過失割合の差は僅少になります。

信号機のある交差点で直進するバイクと右折する車の事故の過失割合

続いて、今度は反対に、バイクが直進中で、車が右折中に交通事故が起こった場合の過失割合について考えてみます。この場合も、車が直進中、バイクが右折中の事故の場合と同様に、各ケースに分けて考えてみます。

直進するバイクが青信号で交差点に進入していた場合の事故の過失割合

まず、直進するバイクが青信号で交差点に進入して事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。ここでは、相手側の右折する車が青信号で交差点に侵入するケースしか想定できません。そこで、この場合の事故の過失割合はバイク15%車85%です。

直進するバイクが黄信号で交差点に進入していた場合の事故の過失割合

次に、直進するバイクが黄信号で交差点に進入して事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。ここでは、相手側の右折する車が青信号で交差点に進入し右折中に黄信号に変わった場合と、右折中の車が黄信号で交差点に進入した場合の2つのケースが想定されます。

まず、直進するバイクが黄信号、右折する車が青信号→黄信号で、事故が起きた場合の過失割合は、バイク55%車45%です。次に、直進バイクが黄信号、右折する車が黄信号で、事故が起きた場合の過失割合は、バイク30%車70%です。

直進する車が赤信号で交差点に進入していた場合の事故の過失割合

最後に、直進するバイクが赤信号で交差点に進入して事故を起こした場合の過失割合について考えてみます。これは、バイクが信号無視をして交差点に進入して、車と衝突した場合の事故の過失割合ということです。

この場合、相手方の右折する車には次の4ケースが想定されます。

  1. 赤信号で右折可の青矢印で交差点に進入した場合
  2. 青信号で進入し右折中に赤信号に変わった場合
  3. 黄信号で交差点に進入し右折中に赤信号に変わった場合
  4. 赤信号で交差点に進入した場合

まず、①の場合、すなわち、直進するバイクが赤信号で交差点進入、右折する車が青矢印で交差点進入の状態で事故となった場合の過失割合は、バイク100%車0%です。一般には、バイクの過失割合は車に比べて低く設定されていますが、信号無視の場合には、そのような軽減はありません。

②の場合、すなわち、直進するバイクが赤信号で交差点進入、右折する車が進入時青信号、右折時赤信号で、事故となった場合の過失割合は、バイク70%車30%です。

③の場合、すなわち、直進するバイクが赤信号で交差点侵入、右折する車が進入時黄信号、右折時赤信号で、事故となった場合の過失割合は、バイク50%車50%です。この場合は、バイクと車の過失割合の負担が相等しくなります。

④の場合、すなわち、直進するバイクが赤信号で交差点侵入、右折する車が赤信号で交差点侵入で、事故となった場合の過失割合は、バイク40%車60%です。信号無視同士の事故の場合、バイクが直進車で車が右折車でも、バイクが右折車で車が直進車でも、過失割合はバイク40%車60%です。

信号機のない交差点での直進する車とバイクとの事故の過失割合

信号機のない交差点で、直進するバイクと車の事故の過失割合について

信号機のない交差点では、交差点に進入するタイミングを誤り、出会い頭事故がよく起こります。そのような信号機のない交差点で、交差道路をそれぞれ直進するバイクと車が衝突事故を起こしてしまった場合の過失割合について考えてみます。

この事故には4つのパターンがあります。

  1. 道路幅がほぼ同じ交差点での事故の場合
  2. 交差道路に明らかな広狭差がある交差点での事故の場合
  3. 交差道路の一方に一時停止規制がある交差点での事故の場合
  4. 交差道路の一方が優先道路である交差点での事故の場合

道路幅がほぼ同じ交差点での事故の場合

一つ目の、道路幅がほぼ同じ交差点での事故の場合で、バイクと車の事故の過失割合について考えてみます。この場合は、バイクが左方車で車が右方車である場合と、反対に、バイクが右方車で車が左方車である場合があります。

バイクが左方車で車が右方車である場合

まず、バイクが左方車で車が右方車である場合、バイクと車双方が同程度の速度で交差点に進入して起こした事故の過失割合は、バイク30%車70%です。ここでは、左方車優先の原則が反映されています。

また、バイクが減速して交差点に進入、車が減速しないで交差点に進入した起こした事故の過失割合は、バイク15%車85%です。反対に、バイクが減速しないで交差点に進入、車が減速して交差点に進入し起こした事故の過失割合は、バイク45%車55%です。

バイクが右方車で車が左方車である場合

次に、バイクが右方車で車が左方車である場合、バイクと車双方が同程度の速度で交差点に進入して起こした事故の過失割合は、バイク50%車50%と相等しくなります。

また、バイクが減速して交差点に進入、車が減速しないで交差点に進入した起こした事故の過失割合は、バイク35%車65%です。反対に、バイクが減速しないで交差点に進入、車が減速して交差点に進入し起こした事故の過失割合は、バイク60%車40%です。

交差道路に明らかな広狭差がある交差点での事故の場合

二つ目の、交差道路に明らかな広狭差がある交差点での事故の場合で、バイクと車の事故の過失割合について考えてみます。この場合には、バイクが広路を走行し、車が狭路を走行していた場合と、反対に、バイクが狭路を走行し、車が広路を走行していた場合の、二つのケースがあります。

バイクが広路を走行し、車が狭路を走行していた場合

まず、バイクが広路を、車が狭路を走行していた場合、バイクと車双方が同程度の速度で交差点に進入して起こした事故の過失割合は、バイク20%車80%です。広路側のバイクの過失割合が低い水準となります。

また、バイクが減速して交差点に進入、車が減速しないで交差点に進入した起こした事故の過失割合は、バイク10%車90%です。反対に、バイクが減速しないで交差点に進入、車が減速して交差点に進入し起こした事故の過失割合は、バイク30%車70%です。

バイクが狭路を走行し、車が広路を走行していた場合

反対に、バイクが狭路を、車が広路を走行していた場合、バイクと車双方が同程度の速度で交差点に進入して起こした事故の過失割合は、バイク60%車40%となります。

また、バイクが減速して交差点に進入、車が減速しないで交差点に進入した起こした事故の過失割合は、バイク50%車50%です。反対に、バイクが減速しないで交差点に進入、車が減速して交差点に進入し起こした事故の過失割合は、バイク75%車25%です。

交差道路の一方に一時停止規制がある交差点での事故の場合

三つ目の交差道路の一方に一時停止規制がある交差点での事故の場合で、バイクと車の事故の過失割合について考えてみます。この場合は、車が走行する道路側に一時停止規制があるケースと、反対に、バイクが走行する側に一時停止規制があるケースがあります。

車が走行する道路側に一時停止規制があるケース

まず、車が走行する道路側に一時停止規制があるケースでは、バイクと車双方が同程度の速度で交差点に進入して起こした事故の過失割合は、バイク15%車85%です。

また、バイクが減速して交差点に進入、車が減速しないで交差点に進入した起こした事故の過失割合は、バイク10%車90%です。反対に、バイクが減速しないで交差点に進入、車が減速して交差点に進入し起こした事故の過失割合は、バイク25%車75%です。

最後に、車が一時停止をして交差点に進入したのもかかわらず事故が起きた場合の過失割合はバイク35%車65%です。一時停止をすれば、車の過失割合が、同じ状況で一時停止をしなかった場合に比べて、20%程度低くなります。

バイクが走行する道路側に一時停止規制があるケース

次に、バイクが走行する道路側に一時停止規制があるケースでは、バイクと車双方が同程度の速度で交差点に進入して起こした事故の過失割合は、バイク65%車35%です。また、バイクが減速して交差点に進入、車が減速しないで交差点に進入した起こした事故の過失割合は、バイク55%車45%です。

反対に、バイクが減速しないで交差点に進入、車が減速して交差点に進入し起こした事故の過失割合は、バイク60%車40%です。最後に、車が一時停止をして交差点に進入したのもかかわらず事故が起きた場合の過失割合はバイク45%車55%です。

交差道路の一方が優先道路である交差点での事故の場合

四つ目の、交差道路の一方が優先道路である交差点での事故の場合で、バイクと車との事故の過失割合について考えてみます。このケースでは、バイクが優先道路を走行していた場合の過失割合はバイク10%車90%です。反対に、車が優先道路をそうこうしていた場合の過失割合はバイク70%車30%です。

信号機のある交差点で直進する車とバイクとの事故の過失割合

信号機ありの交差点でバイクと車の事故の過失割合

信号機のある交差点で、直進する車と直進するバイクの事故の過失割合について考えてみます。この場合の事故の過失割合は、原則として、車やバイクの交差点進入時の信号機の表示により、定まります。

バイクが青信号で交差点に進入した場合

まず、バイクが青信号で交差点に進入した場合の過失割合です。この場合、交差道路の信号表示は赤以外にありません、したがって、車が赤信号で交差点に進入したケースのみが想定されます。その場合の過失割合はバイク0%車100%です。

バイクが黄信号で交差点に侵入した場合

次に、バイクが黄信号で交差点に侵入した場合の過失割合です。この場合も、交差道路の表示は赤以外にありません。したがって、車が赤信号で交差点に進入したケースのみが想定されます。その場合の過失割合はバイク10%車90%です。

バイクが赤信号で交差点に侵入した場合

最後に、バイクが赤信号で交差点に進入して事故を起こした場合の過失割合を考えてみます。このケースでは、事故の相手側である車側には3つの状態があります。一つ目は、信号が青で交差点に進入していた場合、二つ目は、信号が黄色で交差点に侵入していた場合、三つ目は、信号が赤で交差点に侵入していた場合です。

まず、バイクが赤信号で交差点に進入し、車が青信号で交差点に進入し、事故が起きた場合の過失割合はバイク100%車0%です。

次に、バイクが赤信号で交差点に侵入し、車が黄信号で交差点に侵入し、事故が起きた場合の過失割合はバイク70%車30%です。

最後に、バイクが赤信号で交差点に進入し、車が赤信号で交差点に進入し、事故が起きた場合の過失割合はバイク40%車60%です。この場合は、お互いに信号無視をしていますので、過失割合は大きな差がつきません。

車とバイクの事故の過失割合

車とバイクの事故の過失割合について

車とバイクの事故の過失割合については、一部の場合を除いて、車同士の事故の場合よりもバイク側の過失割合が低くなるケースが多くなります。このことは、車とバイクの事故の場合、車の方は物損事故で済んでも、バイクのほうが人身事故となるケースが多くなります。

物損事故と人身事故では、当然、人身事故の方が、より重大な被害を被ります。このため、より重大な被害を被ることが多くなるバイク側に、あらかじめ有利な過失割合を設定しておくという配慮が働いています。

一般的には、まったく同じ条件での事故を想定した場合、車同士の事故の過失割合に比べて、車とバイクの事故の場合には、バイクの方の過失割合が、車の場合の過失割合と比べて、10%~20%程度、有利になる(低くなる)と言われています。

ところで、バイクと車の事故の過失割合に関しては、原則としてバイク側に有利な割合が設定されているのは、バイク側に人身事故の割合が大きいことだけが理由ではありません。

たとえば、先行車の急ブレーキによる追突事故の場合、車が追突した場合に比べて、バイクが追突した場合には、40%程度もバイクの過失割合が軽く設定されています。

この理由としては、車よりもバイクの方が、急停止が難しいというバイクの特性が考慮されています。このように、バイクの性能が考慮されて過失割合が定められている場合もあります。

また、たとえば、信号機のある交差点内の事故で、車が青信号で交差点に進入し、バイクが赤信号で交差点に侵入した場合、または、バイクがセンターラインオーバーで、対向車と衝突事故を起こしたしまった場合などを想定します。

このケースでは、たとえ過失割合の設定はバイク側に有利だといっても、バイク100%車0%の過失割合となります。明らかな交通違反があった場合には、バイクといえども厳しい責任を負わされます。

なお、バイクと車の事故の場合でも、比較的軽い事故で、バイクの方の物損事故で済む場合もあります。このような場合には、バイク側が重い被害を被ることは非常に少ないですから、この場合の過失割合の見積については、車同士の過失割合の基準を参考にしたほうが良い場合もありますので、注意が必要です。