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傷害事故の慰謝料はいくら請求できる?
交通事故で傷害を受けた者に対する慰謝料について
交通事故が原因のケガで病院に入院や通院した者は、慰謝料が認められます。この慰謝料は、事故によるケガのために病院へ入院や通院したことにより、精神的苦痛が生じます。この精神的苦痛すなわち精神的損害に対しての損害賠償金が慰謝料になります。
ところで、この慰謝料は、治療関係費などとは異なり、その金額を客観的に証明することは極めて困難です。被害者が受けた精神的苦痛は目に見えませんから、これを第三者が金銭的に評価することは至難の業です。
そのため、実際の慰謝料の算出にあたっては、被害者の精神的損害を金銭的に見積もるようなことはせず、あらかじめ決められた基準にもとづいて、定形的に慰謝料を算定します。
この慰謝料の算定基準には、2種類あります。一つは、自賠責保険の基準、もう一つが、日弁連の基準です。どちらを利用するにしても、慰謝料は、治療日数などの客観的数値から自動的に定まりますので、当事者間で対立しない限り、慰謝料の算定は非常に簡単になります。
慰謝料に関する自賠責保険の基準
まず、自賠責保険の基準について説明します。この基準では、慰謝料は、被害者が実際に治療を受けた日数の2倍と、治療期間の日数のどちらか少ない方の日数に、1日あたり4,200円を乗じた金額が慰謝料となります。
たとえば、実際に治療を受けた日が8日間、治療の開始日から治療の終了した日までが15日間あったとすると、8日×2=16日>15日ですから、少ない方の15日に4,200円を乗じて、63,000円が慰謝料の金額となります。
慰謝料に関する日弁連の基準
一方、日弁連の基準は、入院した月数と、通院した月数により、慰謝料が定まります。日弁連が公表する入通院慰謝料表では、入院期間が1ヶ月~15ヶ月、通院期間が1ヶ月~15ヶ月、それぞれ15×15の225個の組合わせと、入院のみおよび通院のみの1ヶ月~15ヶ月の30個、合計255個のケースについて慰謝料が定められています。
たとえば、日弁連の基準では、通院のみ1ヶ月の場合、慰謝料は16万円~29万円です。また、3ヵ月の入院と、2ヶ月の通院をした場合の慰謝料は、113万円~210万円までの金額が慰謝料の目安となります。
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学生、フリーター、失業者の休業損害の算出方法
失業者、学生、アルバイトの休業損害について
失業者、学生、アルバイトの方が交通事故の被害者となることもあるかと思います。これらの方々は、原則として、交通事故が原因の負傷により、休業したとしても、休業損害の賠償請求ができません。しかし、一定の場合には、そのような方々でも、休業損害の賠償が認められます。
就職内定者の休業損害について
まず、失業者や学生の方が、就職先が決まっていて、就職待機中に交通事故に巻き込まれた場合には、就職予定日からケガが回復して実際にその会社で働き始めるまでの期間について、休業損害の賠償を求めることができます。
この場合の休業損害の算定には、その会社で受けるはずであった給与額から1日あたりの平均収入額を算出し、その金額に就職予定日から実際の就業日までの日数を乗じて、休業損害額を算出します。
就職は内定していたが、事故による長期入院や長期通院で、内定先の会社になかなか就職できない場合もあるかと思います。それでも休業損害の賠償請求はできます。しかし、この場合の休業損害の算出にあたっては、その会社で受けるはずであった給与の額は用いず、賃金センサスの男女別全年齢平均賃金を用います。
パートやアルバイトの休業損害について
パートやアルバイトの方が、事故の被害者となった場合、原則として、休業損害の賠償請求はできません。しかし、パートやアルバイトであっても、継続して1年以上勤務した実績があれば、事故による休業損害の賠償請求が可能です。
この場合の休業損害の計算方法は、正社員が交通事故の被害に遭い休業した場合とまったく同じです。すなわち、自己の前年度の所得を求め、これを365で割って1日あたりの所得を求め、事故による負傷の治療のために休業した日数を乗じて休業損害額を確定します。
なお、パートやアルバイトで勤務が1年以上継続している者で、1日の勤務日数が6時間以上で1ヶ月の勤務日数が20日以上の者は、自賠責保険の支払い基準で、1日の収入金額が5,700円に満たない場合には、5,700円となります。
専業主婦の休業損害は「賃金センサス」に基づいて算出する
専業主婦の休業損害について
専業主婦が交通事故の被害者になることもあるかと思います。専業主婦が交通事故の負傷が原因で、家事を休んだ場合にも、その休んだ日数分の休業損害を加害者や保険会社に対して請求できます。
専業主婦の休業損害の算出方法
専業主婦の休業損失の算出方法は、次のとおりです。専業主婦の場合には、OLなどと違って、所得を証明するものがありません。したがって、1日あたりの家事労働の金銭的評価として、賃金センサスの女子労働者の全年齢の平均賃金額を利用します。
なお、賃金センサスとは、厚生労働省賃金調査部が毎年公表する統計資料です。ちなみに、平成24年度の女子労働者の全年齢の平均賃金額は、年収で3,547,200円です。ですから、専業主婦の1日当たりの平均収入は3,547,200÷365日=9,718円です。
仮に、この専業主婦が交通事故で家事を14日間休んだとすれば、休業損害額は、9,718円×14日間=136,052円となります。なお、専業主婦の場合、休業補償額は、賃金センサスにもとづいて自動的に計算されますので、OLのように、前年の所得を証明する必要はありません。
主婦とパートタイマーなどを兼業している人の休業損害の算出方法
最近では、専業主婦といっても、パートタイマーや正社員として、専業主婦と兼業で仕事をされている方も大勢いいらっしゃいます。そのような方の場合、休業損害の額は、賃金センサスにより算出した額と、前年の所得÷365日×休業日数で算出した額のどちらか多い方の金額となります。
専業主婦とパートタイマーまたは正社員を兼業しているからといって、両方の基準で算出した休業損害額を合算した金額の賠償請求ができるわけではありませんので、注意が必要です。
また、専業主婦が、事故による休業中、家政婦などに家事代行を依頼していた場合には、家政婦に支払った報酬金額を、休業損害に代えて請求できる場合もあります。この場合には、家政婦に支払った金額の証明が必要になりますので、その領収書などをきちんと保管しておく必要があります。
専業主婦の休業損害の自賠責基準
最後に、自賠責保険の支払い基準では、専業主婦の平均賃金は日額5,700円と定められております。また、仕事を持つ主婦が、前年の年収に基いて計算した休業損害がこの金額を上回るときは、19,000円を上限に、前年の年収に基いて計算した休業補償額を賠償金額をする事ができます。
個人事業主の休業損害は前年の年収から算出する
個人事業主の休業損害の算定方法について
交通事故で負傷したのが個人事業主の場合で、その個人事業主がその負傷のため仕事を休んだ場合、その休んだ期間、一定の方法で算出した休業損害について、加害者または保険会社にその賠償を請求できます。
この個人事業主の休業損害の算定方法は、次のとおりです。まず、事故が発生した日が属する年の前年の、被害者である個人事業主の所得を調べます。この所得を365で割ると、この個人事業主の1日あたりの所得額がでます。そして、この所得額に事故により休業した期間を乗じれば、休業損害の金額が算出されます。
具体的には、被害者である個人事業主の前年分の確定申告の際の申告所得額を365で割って求めます。仮に、被害者の前年の申告所得額が500万円、仕事を休んだ日数が17日間であったとすると、休業損害額は、5,000,000円÷365×17日=232,877円となります。
なお、実際の前年の所得が、確定申告の際の申告所得より多い場合には、領収書や帳簿、源泉徴収票などにより、実際の所得が申告所得を上回ることを確実に証明できれば、実際の所得を用いて、休業損害を算出することもできます。
また、個人事業主の場合、年によって所得が大きく変動することもあります。ですから、事故の前年の所得が極端に多いまたに少ないときには、その所得を用いて休業損害を計算すると、適切な水準にならないことがあります。その場合には、前年を含む過去数年間の所得額の平均をとって所得を基礎に、休業損害を算出します。
さらに、個人事業主の前年の所得が不明または証明できないこともあります。その場合には、厚生労働省賃金調査部が編集する賃金センサスから、1日当たりの所得額を計算し、これに休業日数を乗じて休業損害額を算出します。
個人事業主の会社に生じた休業損害の賠償について
ここまでは、交通事故が原因で個人事業主が休業した場合、事業主本人の所得減に関する休業損害について説明してきました。しかし、個人事業主が、交通事故で休業したために、この個人事業主が経営する会社全体が休業することもあります。
その場合でも、会社は、休業期間中、従業員の給料(または休業手当)、事務所の賃料、各種保険料等の固定的支出を支払わなくてはなりません。これらの支払は、会社の収入に結び付つかない、ただ出ていくだけのお金になります。交通事故損害の賠償に関しては、このような会社の休業期間中の固定的支出も補償の対象になります。
サラリーマンやOLといった給与取得者の休業損害の算出方法
サラリーマンやOLの休業損害について
サラリーマンやOLが、交通事故が原因のケガで、入院や通院または自宅療養等により、会社を休んだとしましょう。この場合、もし事故がなければ、通常とおり、会社に勤務して、その勤務期間の給料を受けることができたはずです。しかし、事故により会社を休んだため、その休んだ期間の給料は受けることができなくなりました。
この場合には、事故にあったサラリーマンやOLは、事故により会社から受ける給料等が減少することになります。その減少分は、消極損害と言って、交通事故による損害の賠償の対象になります。
サラリーマンやOLの休業損害の算出方法について
さて、サラリーマンなどの交通事故による休業損害の算出方法については、以下のとおりです。まず、交通事故発生前3ヶ月間の、事故被害者の給料の合計を出します。なお、この計算の際に使用される給料の金額は、所得税や社会保険料を控除する前の給与で、残業代や皆勤手当などの諸手当を含むものです。
3ヶ月間の給料の総額が算出されたら、これを90日で割り、1日あたりの平均賃金をだします。この平均賃金に、交通事故が原因で会社を休んだ日数を乗じれば、休業損害として賠償の対象となる金額が算出されます。
たとえば、被害者の事故発生前3ヶ月間の給与総額が900,000円あった場合、平均賃金は、900,000円/30日で30,000円となります。被害者が、交通事故が原因で休業した日数が14日だったとしましょう。そうすると、休業損害の金額は、420,000円となります。この金額を、加害者または保険会社に請求できます。
なお、被害者が、会社から休業期間中に、休業期間に対して支払われる賃金を受けていた場合や、健康保険から傷病手当金、労災保険から休業補償を受けていた場合があります。この場合には、通常の方法で計算した休業損害の金額から、会社または健康保険、労災保険から支払われた金額を控除した金額が、賠償の対象となります。
休業損害における賞与の取り扱いについて
また、賞与についても、交通事故により休業したために賞与を減額された場合などには、会社に「休業のために賞与を○○円減額した」という証明書を発行してもらえば、その金額を休業損害として、賠償の請求ができます。
通院にかかった交通費の請求は?
通院交通費は損害賠償の対象となるか
交通事故が原因のケガなどにより、病院に通院することがあります。その病院が被害者の自宅の直近にあれば、被害者は原則として徒歩で通院しますから、通院交通費はかかりません。しかし、そのような場合は希です。たいていは、病院は被害者の自宅から離れたところにあります。したがって、通院交通費が発生するのが通常です。
さて、この通院交通費は、原則として、損害賠償の対象となります。すなわち、被害者は、実際に発生した交通費相当額を、加害者または保険会社に請求することができます。
通院交通費の内容
この通院交通費には、被害者が通院、入院、転院、退院する時の交通費が該当します。ただし、一般的には、電車やバスなどの公共交通機関を使用した場合の運賃が、賠償額の目安となります。また、自家用車を利用して通院した場合には、ガソリン代、高速代、駐車場代の実費相当額が賠償の対象となります。
かりに、実際の通院などにタクシーを利用していたとしても、タクシーを利用することについて、傷害の程度や交通の利便性などを勘案して、相当性がなければ、タクシーを利用した場合の交通費の損害賠償は認められません。
タクシーを利用した場合でも、タクシーの利用に関する相当性が認められない場合には、同一の区間を電車やバスを利用した場合にかかる運賃相当額が、通院交通費として損害賠償の対象となります。
通院交通費の賠償請求に領収証は必要か
なお、通院交通費の損害賠償請求については、原則として、領収証の提出は不要です。通院ルート上の公共交通機関を利用した場合の運賃から算定された金額が、入院交通費として、賠償されます。
なお、傷害の程度や交通の利便性から、タクシーの利用が承認されたとします。この場合には、タクシー利用の領収証の提出が必要になります。この場合には、通院のためにタクシーを利用する都度、タクシーの運転手に領収証を書いてもらう必要があります。
もちろん、タクシー代金の賠償を請求するためには、をタクシー利用の必要性の証明も、タクシー金額の証明とともに、行わなくてはならないことはいうまでもありません。
入院雑費・謝礼はどの程度まで認められる?
入院雑費の損害賠償請求について
交通事故が原因の負傷の治療のために病院へ入院した場合、治療関係費がかかることは言うまでもありません。しかし、この治療関係費以外にも、入院をすれば、さまざまな入院生活に関する経費が発生します。
入院すると、病院の売店で洗面用具や衣類など日用品を購入したり、家族や友人と連絡を取るために手紙や電話をしたり、牛乳、バター、ヨーグルトなどの栄養補給品を購入したりと、本や雑誌を購入したり、いろいろお金を使います。これらにかかった費用については、入院雑費として、一定額の賠償を請求することが可能です。
ただし、入院雑費については、その全額が損害賠償の対象となるわけではありません。日弁連の基準では、1日当たり1,400円~1,600円、自賠責保険の支払い基準では、1日当たり1,100円と、あらかじめ決まっています。
したがって、被害者が、この基準額を大幅に上回る入院雑費を支出し、その領収書を提示したとしても、この基準額を上回る部分が、入院雑費として損賠賠償の対象になるかというと、そうではありません。原則として、支払額に関わらず、あらかじめ定められた基準額が賠償の対象となります。
しかし、その反対に、この入院雑費は、領収書を提示しなくとも、したがって、実際に支出が無くても、基準額に入院した日数を乗じた金額が支払われます。たとえば、事故による怪我のために2週間入院した場合には、自賠責基準で請求すれば無条件に15,400円が入院雑費として支給されます。
医師や看護師に対する謝礼の損害賠償請求について
一方、特に入院した上で手術などを受けた場合、医師や看護師に対して謝礼をする場合がよくあります。この謝礼は、被害者の自発的行為とみなされ、原則として、損害の賠償の対象とはなりません。
交通事故によるケガで入院した場合で、お世話になった医師や看護師へ謝礼をする場合には、全額自分で負担するつもりで支出しなければなりません。加害者や保険会社から賠償を受けることができると勘違いして、高額の謝礼を支払うと後で後悔することになります。
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付添看護費が認められるには医師の証明が必要
添付看護費の種類について
交通事故による負傷のため、病院へ入院・通院する際、場合によっては、付添看護が必要になる場合があります。この付添看護費は、一定の場合には、損害賠償の対象となります。なお、損害賠償の対象となる付添看護費には、入院付添看護費と通院付添看護費の2種類あります。
入院添付看護費の賠償請求について
まず、入院付添看護費は、交通事故が原因の負傷の治療のために入院する場合で、付き添いの看護が必要な場合、その看護にかかる費用を、賠償するものです。たとえば、高齢の方など、入院時に身の回りの世話をする人を付ける場合がありますが、この世話人の報酬などがこの費用に該当します。
なお、この入院付添看護費は、看護システムの整った病院では、原則として認められません。ただし、この場合でも、高齢や負傷の程度により、医師が付添看護が必要だと認めた場合には、入院付添看護費の賠償を請求できます。
入院付添看護費は、家族や親近者が付添った場合には、日弁連の基準では、1日当たり5,500円から7,000円、自賠責保険の基準では、1日当たり4,100円が、請求の目安となります。一方、看護師や家政婦など付添看護を職業としている人が付き添った場合には、かかった費用の全額を請求できます。
通院添付看護費の賠償請求について
次に、通院付添看護費とは、通院のための付添看護が必要な場合、それにかかった費用のことをいいます。一般の成人の場合には、原則として、この通院添付看護費は認められません。しかし、高齢者、身体障害者、幼児などの場合には、この通院添付看護費が認められる場合があります。
この通院添付看護費の目安は、高齢者、身体障害者、幼児などの通院に近親者が付き添った場合、日弁連基準では、1日当たり3,000円から4,000円、自賠責保険の基準では、1日当たり2,050円が、請求の目安となります。
なお、入院添付看護費および通院添付看護費、どちらの賠償請求をする場合でも、被害者が小学生以下の場合には、「添付を必要とする」と医師が記述した証明書が必要になりますから、注意が必要です。
治療関係費は積極損害として全額請求できる
治療関係費の種類について
交通事故の被害者となり、負傷した場合には、原則として、加害者に対して、その治療にかかった費用の賠償を請求できます。この場合、治療にかかった費用のどの部分が、損害賠償の対象となるかが問題となります。
事故による負傷で、病院などへ通院や入院した場合に、損害賠償の対象となる費用のことを治療関係費といいます。この治療関係費には、大きく分けて治療費及入院費、マッサージ費、温泉治療費の3種類あります。
治療費・入院費の損害賠償の対象範囲について
まず、治療費および入院費とは、簡単に言えば、事故によるケガで通院・入院した際に、病院へ支払った金額です。ですから、病院から請求書や領収書が交付された場合、原則として、その全額が治療関係費となります。
通常は、病院が交付する請求書・領収書に記載された金額の全額が、治療関係費として、加害者に請求できます。また、加害者が保険医加入していれば、保険会社に対しても請求ができます。
しかし、被害者が特別に高額な治療方法を選択した場合、医者が医学的に不要で過剰な治療を行った場合(過剰診療)、医者が必要以上に丁寧な診療を行った場合(濃厚診療)などの場合には、本来必要とされる診療に必要な金額以上の金額については、賠償の請求が認められません。
マッサージ費の損害賠償の対象範囲について
マッサージ費とは、正規の免許を有する柔道整復師、あんま・マッサージ・指圧師、はり師、灸師が行う施術費のことです。ただし、交通事故の怪我の治療のために、マッサージ師などから施術を受けたとしても、無条件に、その費用の賠償請求ができるわけではありません。
マッサージ費が賠償請求の対象となるのは、治療上の有効性や、治療期間について、医師の書面による認定や指示を受けている場合です。この書面による支持等を受けていない場合には、たとえ交通事故が原因の怪我の治療のために、マッサージ師などから施術を受けたとしても、その費用は被害者本人が負担することになります。
温泉治療費の損害賠償の対象範囲について
温泉治療費とは、医療機関の付属療養所やそれらに準じる施設などで、被害者が、交通事故が原因の負傷の治療を行った場合、その治療にかかった費用のことです。
なお、この場合も、この温泉治療費が、損害賠償の対象となるには、医師が治療の有効性を認め、かつ、書面により、積極的に療養を支持した場合に限られます。また、治療に要した費用の全額が賠償の対象となることは少なく、その一部である妥当な水準が、賠償の対象となることがほとんどです。
傷害事故で請求できる3種類の損害賠償の内容
傷害事故で請求できるのは積極損害、消極損害、慰謝料の3種類
交通事故の被害者となり、ケガや障害を受けた場合、どのような損害を加害者に対して請求できるかを考えてみます。この場合に被害者が請求できる損害は大きく分けて3種類あります。それは、積極損害、消極損害、慰謝料です。
積極損害について
まず積極損害について考えます。これは、ケガなどの治療のために病院へ入院、通院した場合に係る費用のことです。具体的には、治療関係費、交通費、添付看護費、入院雑費、器具などの購入費、将来予測される手術費、治療費、雑費、訴訟になった場合の弁護士費用などが該当します。
消極損害について
次に、消極損害についてですが、ケガのため会社を休業した期間は賃金が支払われません。この場合の、事故による入院・通院のために会社を休んだことによる収入の減少分が、消極損害に該当します。
また、事故のために障害が残った場合には、その障害のために、被害者が生涯受けるべき総賃金額が減少することがあります。その場合には、障害がない場合の生涯所得と、障害がある場合の生涯所得の差額が、消極損害に該当します。
慰謝料について
最後に、慰謝料についてです。これは、事故によりケガや障害が残れば、被害者は精神的苦痛をうけます。被害者が受けたこの精神的苦痛に対して、加害者はその埋め合わせをする義務を負います。その埋め合わせのために支払われるのが慰謝料です。
賠償金額の決定に関する3基準
ところで、賠償金額は、加害者はできるだけ低い金額を主張するでしょうし、反対に、被害者は、できるだけ高い金額を主張するに決まっています。ですから、一般的な基準がないと、賠償金額は容易には定まりません。
そこで、損害賠償の対象となる項目ごとに、各種の賠償額の基準が設けられています。それは、自賠責保険の支払い基準と、任意保険の支払い基準、日弁連の支払い基準の3種類です。実際の賠償額の決定では、これらの基準を参考にしながら、交渉をまとめていきます。
ちなみに、この3種類の支払い基準は、一番低い基準が自賠責保険の支払い基準、次が任意保険の支払い基準、一番高いのが日弁連の支払い基準となっています。日弁連の支払い基準は、裁判となった場合の基準として利用されています。