初めて自動車保険を契約するときは、6等級から始まります。そして1年間、保険金の請求をしたかしなかったかによって、次の年の等級が決まります。
もし1年間事故をしなければ1等級ずつ上がり、保険を使うとその事故内容によって「3等級ダウン事故」、「等級据え置き事故」、「ノーカウント事故」と区分され、1年間の事故をトータルして次の年の等級となります。なお、ノンフリート等級は、保険会社を変えても引き継がれます。
Contents
満期日が近づいたら注意しよう!等級の引継ぎ期間とは?
ノンフリート等級を活用した自動車保険料を安くする方法は、保険内容を削ることなく保険料を安くすることができるので、保険料を安くするためのもっとも効果的な方法です。このノンフリート等級を活用した自動車保険料の割引の方法には、さまざまな特徴があります。
保険会社を変えても等級は引き継げる
保険会社を変えても無事故を重ねることでコツコツと上げてきたノンフリート等級は、新しい保険会社の保険に引き継ぐことができます。最近では代理店型の保険会社から通販型の保険会社に乗り換える人が大勢出てきていますが、その場合でも前の保険のノンフリート等級は新しい会社に引き継ぐことができます。
ノンフリート等級が高い場合には保険会社を変える際にノンフリート等級を引き継げた方が良いのですが、ノンフリート等級が低く保険料が割り増しになっている場合には、保険会社を変えた際にノンフリート等級がリセットされ、6級に設定されるという方がユーザーにとっては好ましいでしょう。
残念ながらそういった事実はなく、ノンフリート等級が低く保険料が割り増しになるケースで保険会社を変えた場合には、その低い等級はしっかり新しい保険会社に引き継がれます。低いノンフリート等級をリセットするために、保険会社を変えるという方法は利用できません。
本人以外にノンフリート等級を引き継げる場合がある
ノンフリート等級は同居の家族が新しく自動車に保険をかける場合に、その家族に引き継ぐことができます。たとえば、年配の父親のノンフリート等級が高い状態で、その子供が免許を取ったので新しく自動車を買い自動車保険に入るといった場合には、その高い父親の等級のノンフリート等級を息子に譲ることができます。
免許を取り立ての若いドライバーの場合保険料が相当に高い水準となるので、高い割引率のノンフリート等級が適用できれば大きな金額を節約できます。高いノンフリート等を譲ってしまった父親の方は、新規加入の6等級が適用されますが、こちらはベテランの年長ドライバーなので本来の保険料が安く、割引率が低くてもそれほど大きな影響はありません。
こうすることで2人トータルの保険料を節約することができます。ノンフリート等級はこのような使い方もできます。この他、高齢になったドライバーが、運転を止める場合にも、そのドライバーのノンフリート等級が高い場合には、その等級を同居の家族で自動車を運転するものに譲ることもできます。
保険を解約する際に「中断証明書」を取得しておくとよい
自動車を運転しなくなったために自動車保険を解約する際に、将来再び自動車を運転する予定があれば、保険会社から「中断証明書」を取得しておきます。この証明書があれば、再び自動車を運転するために自動車保険に再加入する際、前の保険で適用されていたノンフリート等級を利用することができます。
「中断証明書」を取得した場合にノンフリート等級を引き継げるのは、保険の解約から10年以内に再加入する場合です。前の保険の解約から再加入まで10年以上の期間が開く場合には、この制度は利用できません。また、ノンフリート等級が7級以上でないと「中断証明書」を取得する意味がありません。そもそも、解約時のノンフリート等級が7級以上でないと保険会社は「中断証明書」を発行してくれません。
更新を忘れると、ノンフリート等級はリセットされる
うっかり自動車保険の更新手続きを忘れた場合、満期日の翌日から起算して7日以内に更新手続きを行えば、更新前の保険で適用されていたノンフリート等級を引き継ぐことができます。万が一、満期日の翌日から起算して7日過ぎても更新手続きを行わなかった場合には、前の契約のノンフリート等級は失効し更新後は新規加入時の同じ6等級が適用されます。
保険満期日の1か月程度前になると、保険会社から契約更新に必要となる書類の一式が郵送されてきますから、忘れずに満期日までの手続きをしておく必要があります。一部の保険会社では、うっかり更新手続きを忘れた場合に受けた損害を補償する特約を設けているところもありますが、そういったものに入るよりもとにかく更新手続きを忘れないようにしたいものです。
満期日から13か月か経過すると等級がリセットされる
ノンフリート等級が最低の1等級の場合、一度保険を解約し解約した保険の満期日から13カ月が経過した後に、保険に再加入した場合、ノンフリート等級はリセットされて6等級に戻ります。ただし、解約した保険の満期日から新しい保険に加入するまでの13か月間は無保険状態となりますので、自動車なしの生活をしなくてはなりません。
無保険状態といっても車検が通っていれば、自賠責保険には入っている状態となりますが、自賠責保険のみがかかっている状態での運転は大変危険ですから、やはり運転は控えた方がよいでしょう。
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等級によって保険料の割引率はこんなに違う!最大割引率は?
保険料を安くするもっとも確実な方法は、長期間無事故で自動車を運転しノンフリート等級が上げる方法です。自動車保険料を安くする方法の多くは保険内容を薄くして保険料を下がるという方法ですが、ノンフリート等級を使えば保険内容を充実させた状態で保険料を安くすることができます。
ノンフリート契約とはどういう意味か
フリートとは本来は「船団」を意味する言葉ですが、自動車保険では10台以上の自動車をまとめて1つの保険契約で保険に加入させる場合をフリート契約といいそれ以外の契約をフリートでないノンフリート契約といいますが、このような意味で使われます。
タクシー会社などは1つの会社で10台以上の自動車を保有しているところがありますが、そのような会社では会社が保有しているすべての自動車を1つの契約で保険に加入させます。一方で個人の方であれば10台以上の自動車を保有しているという方は特別な方だと思いますから、普通はまとめてではなく1台1台個別に自動車保険に加入します。
自動車保険において保険会社とフリート契約を結ぶのはタクシー会社や運送会社などの事業主が中心です。自動車の個人ユーザーの方が保険に加入する場合にはほとんどのケースでノンフリート契約になります。
フリート契約にもノンフリート契約にも、それぞれ事故によって保険を使った回数の多寡によって、保険料を割増ししたり割引したりする制度がありますが、ノンフリート契約においてはこの制度のことをノンフリート等級制度と呼びます。ノンフリート等級制度は個人ユーザーの自動車保険料の水準を決定する際に大きく関係してきます。
自動車保険の保険料はノンフリート等級で変わる
ノンフリート制度とは事故歴に応じた保険料の割引・割増しを適用する制度です。新規契約の場合にはノンフリート等級の6級が割合てられます。無事故の保険期間が続くとノンフリート等級が少しずつ上昇し、最終的には20級まであがります。反対に、保険期間中に事故を起こしてしまうとノンフリート等級は下がります。毎年のように事故を起こしていると最低の1級になります。
ノンフリート等級には級ごとに割引率又は割増率が設定されています。自動車保険料は本来の自動車保険料の金額にノンフリート等級にもとづく割引率を乗じて計算した金額となります。たとえば初めて自動車保険に加入する方の本来の自動車保険料金が100,000円だとすると、新規加入者のノンフリート等級は6級で割引率は19%なので、100,000円×(100%-19%=81%)=81,000円が保険料の金額となります。
各クラス別のノンフリート等級の割引・割増率について
ノンフリート等級による割引率(事故係数が関係しないクラス)を表にまとめると以下のようになります。
級数 | 割引(割増)率 |
---|---|
1級 | 64%割増 |
2級 | 28%割増 |
3級 | 12%割増 |
4級 | 2%割引 |
5級 | 13%割引 |
6級 | 19%割引 |
ノンフリート等級による割引率(事故係数が関係するクラス)を表にまとめると以下のようになります。
級数 | 無事故係数の割引率 | 事故有係数の割引率 |
---|---|---|
7級 | 30% | 20% |
8級 | 40% | 21% |
9級 | 43% | 22% |
10級 | 45% | 23% |
11級 | 47% | 25% |
12級 | 48% | 27% |
13級 | 49% | 29% |
14級 | 50% | 31% |
15級 | 51% | 33% |
16級 | 52% | 36% |
17級 | 53% | 38% |
18級 | 54% | 40% |
19級 | 55% | 42% |
20級 | 63% | 44% |
無事故係数と事故有係数について
ノンフリート等級は新規加入時点では必ず割引率19%の6級が割り当てられます。無事故の保険期間を重ねるごとにノンフリート等級は少しずつ上昇し、より高い割引率の適用を受けることができるようになるわけですが、各等級による割引率には無事故係数に係るものと事故有係数に係るものの2種類があります。
ノンフリート等級は保険期間(原則1年間)を無事故で経過すると1等級あがります。一方で保険期間に交通事故を起こしてしまい保険を使った場合には1等級又は3等級ダウンします。無事故でノンフリート等級が上がった場合にその上がった等級で適用される割引率は無事故係数の割引率になります。一方で事故を起こして等級が下がった場合に適用される割引率を事故有係数の割引率になります。
自動車保険に新規で加入された方が最初の保険期間を無事故で経過した場合、次年度から適用されるノンフリート等級は7級となり、この場合には無事故係数の割引率が適用されるので割引率は30%となります。一方でノンフリート等級10級の方が大きな交通事故を起こしてしまいある保険年度で保険を使ってしまった場合、この方の翌期のノンフリート等級は3級下がって7級になります。
同じ7級でも事故を起こして上から下がってくる7級の場合には、事故有係数の割引率が適用されて20%の割引となります。重大事故を起こして等級が3級下がると事故有係数が3年間適用となりますから、仮に等級が上がったとしても最低で3年間は事故有係数の方の割引率が適用されることになります。
事故を起こせば翌年から等級が下がる
ある保険年度に事故を起こし保険を使ってしまうとノンフリート等級が3級又は1級下がります。大きな事故を起こして保険を使った場合には3級下がり、比較的小規模な事故で保険を使った場合には1級下がります。
たとえば、以下のような事故を起こして保険を使った場合ノンフリート等級は3級下がります。
- 他人に怪我を負わせてしまい、対人賠償保険金が支払われた
- 他人の自動車や物を壊してしまい、対物賠償保険金が支払われた
- 建物やガードレールに自動車をぶつけてしまい、車両保険が支払われた
以下のような事故を起こした場合にはノンフリート等級は1級下がります。
- 自動車が盗まれて車両保険金が支払われた
- 車体に落書きされるなどのイタズラがあり、車両保険金が支払われた
- 自然災害などで車両が損壊し、車両保険が支払われた
ちなみに、以下のような事故をノーカウント事故といい、保険期間中に以下に該当するような事故を起こした場合にはノンフリート等級は下がりません。
- 自分や搭乗者が自動車事故でケガを負い、人身傷害保険金等が支払われた
- 原付事故でファミリーバイク特約が支払われた
- 愛犬が他人にかみついて、個人賠償責任保険特約の保険金が支払われた
等級が下がると事故有係数がしばらく適用される
ノンフリート等級の各クラスに割り当てられる割引率には、割引率が大きい無事故係数の割引率と割引率が小さい事故有係数の割引率の2つがあります。重大事故を起こしてノンフリート等級が3ランク下がった場合には、事故有係数の割引率が3年間適用されます。
ノンフリート等級の10級の方が重大事故を起こして7級に下がった場合には、下がった保険期間とその翌保険期間及びその翌々保険期間の3年間は、事故有係数の等級が適用されます。仮に下がった時の保険期間とその翌保険期間及びその翌々期に無事故であったとすれば、ノンフリート等級は7級から8級及び8級から9級及び9級から10級にに上がりますが、その各保険期間は、各級の割引率の低い事故有係数の割引率が適用されます。
比較的軽い事故で保険を使った場合でノンフリート等級が1級下がった場合には、事故有係数の適用期間は1保険期間のみなので、等級がダウンした保険期間を無事故で経過すれば翌期以降は無事故係数の割引率が適用されます。同じ保険期間に2回重大事故で保険を使った場合には、6等級ダウンの事故有係数の等級割引率適用期間が6年間と非常に重いペナルティを受けるので十分な注意が必要です。
自動車保険の解約の際には中断証明書を取得しておく
自動車を廃車にするので自動車保険解約をする際に再び自動車に乗る可能性があるとすれば、保険会社から「中断証明書」の交付を受けておくといいでしょう。この「中断証明書」があれば、廃車時点でのノンフリート等級を再び自動車保険加入する際に(解約から10年以内)引き継ぐことができます。
廃車時点のノンフリート等級が、初回契約の際に適用される等級である6級より1つ上の7級(無事故係数の場合)であったとしても、割引率は30%なので6級の19%よりも1割以上お得です。事故有係数の7級は割引率が20%なので、6級と比較して1%しか特にならないので、手間を考えると中断証明書の取得をしない方が良いかもしれません。
解約前に事故を頻繁に起こしてノンフリート等級が6級以下になっている場合には、中断証明書をもらって前契約のノンフリート等級を引き継ぐメリットがまったくありません。そもそもこのケースでは保険会社に中断証明書の交付請求を行っても、保険会社の方で証明書を発行してくれません。解約する自動車保険のノンフリート等級は契約書を見れば記載されていますので、それで確認することができます。
中断証明書の発行手続きについて
自動車を廃車にする際にその車両に適用されていたノンフリート等級を引き継ぐために、中断証明書を取得する場合にはまず以下の書面を用意します。
- 中断証明書発行依頼書
- 中断前の自動車保険証の写し
- 自動車保険に加入していた車両を廃車、譲渡等したことを証する書面
中断証明書発行依頼書は加入していた自動車保険会社の窓口などで交付を受けることができます。また、保険に加入していた自動車を廃車・譲渡したことを証する書面には、陸運局が交付する「一時抹消登録証明書」や「登録事項等証明書」がこれに該当します。
中断証明書発行手続きで陸運局が発行する「一時抹消登録証明書」や「登録事項等証明書」が必要だということは、中断証明書の発行手続きをする前に廃車手続きや譲渡手続きを完了していなければならないことを意味します。反対から言うと「中断証明書」の発行手続きは廃車・譲渡手続きの終了後に行う必要があります。
書面の準備が整ったら、中断証明書発行依頼書に必要な事項を記入しその他の必要書類を添えて、加入していた自動車保険会社に送付します。その後に自動車保険会社から中断証明書が送られてきます。
ノンフリート等級を活用して保険料を安くする方法について
ノンフリート等級を利用して保険料を安くする方法は、保険内容を削ることなく保険料を安くすることができるので、もっとも効率の良い方法ということができます。割引率についても最上級の20級では63%と本来の保険料の半分以下の水準で保険を利用することができます。ノンフリート等級は自動車保険を安くすることを考える際にもっとも重要な事項であるとも言えます。
ノンフリート等級を利用して保険料を安くする方法としては以下の3つが考えられます。
- 低い等級をリセットする方法
- セカンドカー割引を利用する方法
- 家族のノンフリート等級を引き継ぐ方法
低い等級をリセットして保険料を安くする方法
新規に自動車保険に加入された方が、短期間に重大事故を連続して起こすとノンフリート等級は1級に下がります。ノンフリート等級の1級の割増率は63%なので、たとえば本来の自動車保険料が100,000円の方のノンフリート等級が1級の場合には、保険料は163,000円の水準となります。
ノンフリート等級が低すぎると保険料の負担が重くなり大変です。その場合には、一度自動車保険を解約して解約した保険の保険期間の満了日から13か月を経過後に再び保険に加入すれば、ノンフリート等級をリセットして再び6級からスタートすることができます。
この方法を採用すると、保険期間の満了日に解約した場合に解約してから13か月間は自動車に乗れないことになりますから、通勤が通学で自動車を利用される方は利用できないかもしれませんが、都会にお住まいの方で自動車の運転ができなくても公共交通機関を使えば何とか生活できるという場合には利用可能です。
等級をリセットしても、すぐに重大事故を立て続けに起こしてノンフリート等級を下げてしまう場合には意味はありませんが、待機の13か月間に十分に反省してリセットを機に安全運転を心がけ、今後はノンフリート等級が6等級以下にならないように心がけるのであれば、このリセットも有益なものになるでしょう。
セカンドカー割引を利用して保険料を安くする方法
すでに保険に加入している自動車を1台持っている方が2台目を購入した場合、一定の要件を満たすと、2台目にかける自動車保険の加入時点のノンフリート等級を7級とすることができます。
2台目の車両の自動車保険を7級から開始するための要件とは以下のとおりです。
- 1台目の等級が11等級以上である
- 2台目の車両について、記名被保険者及び所有者が個人である
- 2台目の記名被保険者が、本人、配偶者、同居の親族である
- 1台目と2台目の自動車が特殊自動車でないこと
この方法を利用するためには1台目の車両のノンフリート等級が11級以上であることが必要になるため、1台目の車両のノンフリート等級が低い場合には利用することはできません。しかし、1台目の車両のノンフリート等級が11級以上ある場合には、2台目の自動車保険を30%割引の7等級から始めることができるので、ぜひ利用したい方法です。ちなみに、この割引のことをセカンドカー割引といいます。
家族のノンフリート等級を引き継いで保険料を安くする方法
同居の親族に自動車保険の加入者がいるという方が新規に自動車保険に加入するという場合、新規加入者が同居の家族が加入しているノンフリート等級を引き継ぐことができます。たとえば、父親が自動車保険に加入していてそのノンフリート等級が20等級だとします。同居しているその息子が新しく自動車保険に加入するという場合、この息子は父親の等級を利用することができます。
このケースでは、新規に加入する息子の自動車保険のノンフリート等級が20等級、父親のノンフリート等級が6級となりますが、免許取り立てで年齢の若い息子の保険料は高く、運転のベテランで年齢の高い父親の保険料は安くなる傾向があります。ノンフリート等級の引き継ぎを行うと、保険料の高い方に高い割引率が適用され、保険料の低い方に低い割引率が適用されるため、2人のトータルでは保険料が節約できます。
家族にノンフリート等級を引き継ぐ方法とセカンドカー割引は併用することができますので、家族のうち最初に自動車保険に加入した方のノンフリート等級が11級以上の場合には、新しく加入する方のノンフリート等級を7級として引き継ぎ(双方の等級の交換)を行うこともできます。
ついに20級到達!どれだけ保険料が割引されるか
ノンフリート等級の最上級は20級でその割引率は63%です。ノンフリート等級を20級に上げるには新規加入時点から最速で14年は必要になりますが、級数を20級まで上げると本来の金額の4割以下の金額で自動車保険が利用できるので大変お得です。
ノンフリート等級20級の割引率は63%
ノンフリート等級の最上級である20級の割引率は63%です。たとえば、自動車保険料の本来の金額を100,000万円とすると、ノンフリート等級が20級の場合には保険料の金額は37,000円となります。
ノンフリート等級が20級の場合、保険料は本来の金額の4割以下になりますので非常に大きな割引となります。
自動車の任意保険に加入している方で長期間にわたり無事故で保険を使わなかった方の場合、結構充実した保険に入っているにも関わらず、保険料の金額が3万円程度という方もいらっしゃるかと思います。これはノンフリート等級が結構高い水準にあり大きな割引を受けているためです。
ノンフリート等級のことを知らずに保険料の水準がこの程度だと考えていると、たとえば、2台目の自動車を購入しその自動車に保険をかける際にノンフリート等級6等級の保険料を請求された場合、その金額が従来の保険料の2倍以上になっていたりしてビックリすることがあります。
ノンフリート等級は保険料の算定の際に非常に大きな影響を与えるので、保険料を安くすることを考える際に一番大切なのは事故を起こさないでノンフリート等級を上昇させることだということができます。ノンフリート等級を使って保険料を安くする場合、他の方法とは異なり保険料を削ることなく保険料を安くできるというメリットがあります。
ノンフリート等級の20級は大変価値の高いものである
ノンフリート等級は新規加入時に6等級が割り当てられます。1つの保険期間(1年間)を無事故で経過した場合には次の保険期間からノンフリート等級が1級上がります。保険期間中に重大事故を起こして保険を使った場合には等級は3等級下がります。比較的軽い事故を起こして保険を使った場合には等級は1等級下がります。
新規加入時の6級から最上級である20級まで上昇するには最速でも14年間かかります。ノンフリート等級が20級だと63%という非常に高い割引率が適用され大変安い料金で自動車保険が利用できるわけですが、そこに到達するまでには無事故で14年以上も運転を続ける必要があり、それだけ20級の価値が高いことになります。
年齢の高い方がノンフリート等級の20級を持っている場合、たとえば、その子供さんが新しく免許を取って自動車を購入し保険をかけるという場合には、その息子さんに適用されるべきノンフリート等級の6等級と、その親御さんのノンフリート等級の20級を交換することができます。
免許取り立ての若い方の保険料は非常に高く、反対に運転のベテランで年齢の高い方の保険料は安くなる傾向があります。保険料の高い方に高い割引率を適用し、反対に保険料の安い方に低い割引率を適用すれば、トータルでの保険料は節約できます。ノンフリート等級の20級にはこのような利用方法があります。
自動車保険の長期優良割引について
ノンフリート等級が20級になると、その後いくら保険期間を無事故で経過したとしても等級はそれ以上は上がらず割引率も63%のままで変わりません。しかし、長期優良割引を実施している自動車保険会社と契約している場合には、以下の条件を満たした場合に更に割引を受けることができます。
- ノンフリート等級が20級である
- 運転者年齢条件が26歳以上であるy
- 使用目的が業務用でない
- 過去1年間に事故有係数適用期間が0年である
- 過去1年間に3等級ダウン事故又は1等級ダウン事故が発生していない
上記要件を満たした場合には、ノンフリート等級により割引に加えて、更に以下の表で表示する長期優良割引を受けることができます。
保険会社 | 割引額 |
---|---|
AIU | 10% |
日新火災 | 3% |
共栄火災 | 3% |
AIG損保 | 3% |
あいおいニッセイ同和 | 2% |
JA共済 | 2% |
楽天損保 | 1.5% |
三井住友海上 | 1.5% |
長期優良割引を実施している会社はほとんどが代理店型の保険会社なので、通販型の自動車保険を利用されている場合には、この割引を受けることが難しいかもしれません。いずれにしても、一定の場合には、安全運転に対する見返りとしての自動車保険の割引は、ノンフリート等級20級で頭打ちではなくそれからさらに割引があります。
ノンフリート等級20級の方が事故を起こしたらどうなるか
ノンフリート等級が20級の方は運転が非常に上手な方であることは間違いがありません。しかし、そういった方でも重大事故を起こしてしまうことがあります。ノンフリート等級20級の方が、人身事故を起こし対人賠償保険から保険金が支払われたとします。この場合には翌保険年度はノンフリート等級は3級下がって17級となります。
ノンフリート等級が3級ダウンする事故を起こしてしまった場合、事故を起こした保険期間の翌期以降の3保険期間は事故有係数の割引率が適用されます。事故有係数で17級の割引率は38%割引となりますから、事故を起こした保険期間の次の保険期間は63%から38%への割引率の大幅ダウンとなります。
しかも、事故を起こした日が属する期間の翌期以後3期間(年間)は事故有係数の等級割引率が適用されます。仮に、この方が、事故を起こした日が属する期間の次の期間と次に次の期間に無事故で保険を使わなかった場合、ノンフリート等級は17級から18級・18級から19級へと上昇します。ただし、その際各級で事故有係数の割引率が適用されるので割引率は18級で40%・19級で42%となります。
事故を起こした日が属する期間の翌期間から数えて3期目も無事故で保険を使わなかった場合、ノンフリート等級は20級に上がり、ここで、初めて無事故係数が適用になり割引率が本来の水準(63%)に復帰します。
等級20級の方が事故を起こすとどのくらい保険料が増えるか
基本保険料が100,000万円でノンフリート等級20級の方が人身事故を起こしてしまい等級3級ダウンの処置を受けた場合、どのくらいの保険料を余分に支払わなくてはならないかということを計算してみます。ノンフリート等級が20級の方が無事故であった場合の保険料は4年間で148,000円です。
一方、20級の方が3等級ダウンの事故を起こした場合、事故を起こした期の保険料はノンフリート等級20級の割引率が適用になるので37,000円です。
その次の期は事故有係数17級が適用されるので保険料は62,000円となります。
その次の期は事故有係数の18級が適用され保険料は60,000円となります。
事故を起こした日が属する期間の翌期間から数えて3期目の期間は事故有係数の19級が適用されますので、保険料は58,000円となります。
ノンフリート等級20級の方が3等級ダウンの事故を起こした場合、事故を起こした期間を含む4期間(4年間)の保険料総額は217,000円となります。
無事故の場合の4年間の保険料は148,000円で、3等級ダウンの事故を起こした場合の4年間の保険料は217,000円なので、その差額は69,000円となります。1年当たりに換算すると保険料が17,250円増加することになります。
ノンフリート等級制度が存在する理由について
事故を起こしそうなドライバーからは高い保険料を徴収すべきですし、反対に何十年も無事故で運転を継続している優良ラーバーの保険料は安くしてしかるべきです。本来であれば、自動車保険に加入する際に保険会社の担当者が1人1人のドライバーを個別に調査して事故を起こす可能性を決め、それに基づいて保険料を決定すればそれがもっとも適切な保険料ということができます。
しかし、自動車保険には非常に多数の方が加入しますし、毎年発生する交通事故の件数も半端なものではないので、1人1人の加入者の方を保険会社の担当者が調査して各ドライバーが事故を起こす確率を推定し、それに基づいて保険料を定めるという方式は現実的ではありません。
そこで、事故を起した者の保険料を上げ事故を起こさなかった者の保険料を下げるという仕組みを、画一的に非常に多い数の被保険者の方に対して同時に適用するために開発された制度がノンフリート等級制度です。これによって、保険会社は、1人1人のドライバーを個別に調査しなくても、その事故を起こす可能性にしたがって保険料を上げたり下げたりできるようになっています。
等級をスムーズに引き継ぐために知っておくべき引き継ぎ条件
ノンフリート等級を使って自動車保険料を安くする方法は、保険内容を削ることなく保険料を安くできるので非常に優れた方法です。割引率についても最上級の20級で、保険料が63%も割引かれるので、割引率も非常に大きくなっています。しかも、このノンフリート等級は一定の要件を満たし場合には他人に譲ることができます。
自動車保険の等級を引き継げる条件
ノンフリート等級は一定の条件を満たした場合に記名被保険者以外の者に引き継ぐことができます。その条件とは以下のとおりとなります。
まず、ノンフリート等級の引き継ぎを受ける者の関する条件ですが、その引き継ぎを受ける者は以下のいずれかに該当する必要があります。
- 記名被保険者の配偶者である
- 記名被保険者の同居の親族
- 記名被保険者の配偶者の同居の親族
自動車保険の補償は記名被保険者の別居の未婚の子までに及ぶのが原則ですが、ノンフリート等級の引き継ぎは、記名被保険者の別居の未婚の子に対してはできませんので注意が必要です。家族間でノンフリート等級の引き継ぎができるのは同居の親族に限定されています。たとえ自分の子であっても、別居していれば引き継ぎの対象と名なりませんので注意が必要です。
次に、ノンフリート等級を引き継ぐためには、前契約の満期日又は契約日から起算して7日以内に契約を継続する必要があります。前契約の満期日から7日が経過してしまうと前契約のノンフリート等級は引き継ぐことができず、新しい契約でのノンフリート等級は原則として6級となります。
自動車保険で等級の引き継ぎができないケースについて
自動車保険でノンフリート等級の引き継ぎができないケースは、引き継ぎを受ける者が別居している場合です。たとえば、大学進学を機に地元を離れた未婚の子が、転居先で免許を取って自動車を購入しその自動車に保険をかける場合には、父親のノンフリート等級は引き継ぐことはできません。
記名被保険者の別居の未婚の子が契約車両を運転中に起こした事故に関しては、記名被保険者の自動車保険から補償を受けることができますが、ノンフリート等級の引き継ぎに関しては、記名被保険者の別居の未婚の子はその対象となっていません。その引き継ぎを受けるためには同居の家族である必要があります。
保険期間中又は保険契約の更新の際に記名被保険者を変更する場合があります。記名被保険者を変更した場合でも変更後の記名被保険者が変更前の記名被保険者の同居の親族である場合には、前の記名被保険者のノンフリート等級が引き継がれるのが原則です。
しかし、記名被保険者を同居の親族に変更する場合でも、同時に契約車両も変更する場合にはノンフリート等級の引き継ぎができないこともあります。記名被保険者を同居の家族に変更する場合で、ノンフリート等級を確実に引き継ぐためには契約車両はそのままにする必要があります。契約車両を変更してしまうと、ノンフリート等級の引き継ぎができないで新規加入の6等級となり、保険料を安くすることができない場合もあります。
記名被保険者が死亡したケースでは引き継ぎがしやすい
記名被保険者が死亡した場合又は高齢で免許を返上した場合には、ノンフリート等級の引き継ぎは非常に簡単に行えます。ただし、死亡した方又は免許を返上した方のノンフリート等級が7級以上でないと等級を引き継ぐ意味がありません。高齢ドライバーの方が事故を立て続けに起こしたために免許を返上した場合には、このケースに該当することがあります。
ノンフリート等級を引き継ぐためには、死亡または免許返上で保険契約を解約した日から7日以内に引き継ぎの手続きを行わなくてはなりません。高齢による免許返上の場合には急いで手続きをすると言うことは可能でしょうが、死亡の場合にはバタバタしていて、7日以内にノンフリート等級の引き継ぎ手続きを行うことは難しいかもしれません。
ノンフリート等級の引き継ぎで保険料はどのくらい安くなるか?
ベテランの運転者である年配の父親のノンフリート等級が20級で、同居の息子が免許を取得した直後に自動車を購入しその自動車に保険をかけるとします。新規加入者のノンフリート等級は原則6等級(セカンドカー割引適用で7等級)です。ちなみに、20級の割引率が63%で6級の割引率が19%です。
自動車免許取り立てで年齢の若い息子の保険料の基本料金は非常に高い水準となります。一方、ベテラン運転者で年齢の高い父親の保険料は低く設定されています。ノンフリート等級割引も、父親が20級の63%で息子が6級の19%ですので、割引適用後も何もしなければこの保険料の差は変わりません。
ノンフリート等級は一定の条件を満たした場合他人に引き継ぐことができます。このケースで、父親の自動車保険料の本来価格が50,000円で息子の自動車保険の本来価格を200,000万円とします。普通にノンフリート等級を適用した場合、2人合計の保険料は合計180,500円となります。
- 父親分:50,000円×(100%-63%=37%)=18,500円
- 息子分:200,000円×(100%-19%=81%)=162,000円
- 合計:18,500円+162,000円=180,500円
ノンフリート等級は一定の要件を満たした場合他人に譲ることができます。上記のケースで父親が自分のノンフリート等級を息子に譲り、自分は新規加入の6等級の適用を受けるとします。すると2人合計の保険料の合計額は114,500円となります。
- 父親分:50,000円×(100%-19%=81%)=40,500円
- 息子分:200,000円×(100%-63%=37%)=74,000円
- 合計:40,500円+74,000円=114,500円
ノンフリート等級を引き継ぐ手続きはそれほど難しくありません。このケースではノンフリート等級を入れ替えただけで2人合計の保険料は66,000円も安くなります。これを利用すれば、息子の方にフル保障の車両保険を付けても、保険料はそんなに高くならないので大きなメリットを享受できます。
家族間でのノンフリート等級の引き継ぎ手続き
家族間でノンフリート等級の引き継ぎをしたい場合には、代理店型であっても通販型であっても、保険会社の担当者に連絡してその担当者の指示にしたがっていれば意外と簡単にできます。ただし、その手続きの流れを知っていれば、より手続きが容易になりますので以下に簡単に説明します。
ノンフリート等級を引き継ぐのはどういうケースか
ノンフリート等級を引き継ぐケースとして一番わかりやすいのが、高齢ドライバーの方が免許を返上する際に、それまで加入していた自動車保険のノンフリート等級を同居の親族のうちの誰かに譲るという場合です。
父親のノンフリート等級が高いケースで息子が新しく自動車保険に加入する場合も、父親のノンフリート等級を息子に譲ることができます。このケースでは引き継ぎというよりも、ノンフリート等級の交換といったほうが良いかもしれません。
親の等級を子供に引き継ぐ場合
子供が免許を取り立てで新しく自動車保険に加入するケースで親の自動車保険のノンフリート等級が高いと、親のノンフリート等級を子供に譲ることで、親子トータルでの保険料を下げることができます。このように親の等級を子に引き継ぎ場合の手続きは以下のとおりです。
- 1. 親の車Aから子供の車Bへ、車両入替申請をする
- 2. 車Bへの車両入替後、保険名義を親から同居の子供に替える
- 3. 親の車Aは、親の名義で任意保険に新規加入する
自分がもう車に乗らないので同居の親族に等級を譲る場合
高齢ドライバーの方が高齢を理由に免許を返上した場合で、その等級が高い場合には同居の親族で自動車を運転する方がいれば、その方にその高い等級を引き継ぐことができます。このように自分がもう車に乗らないので、同居の親族に等級を譲る場合の手続きの流れは以下のとおりとなります。
- 1. 大きい等級の車A(本人)と小さい等級の車B(親族)で車両入替申請をする
- 2. 同時に、車Bの保険は解約する(7級以上であれば、中断証明書を取得)
- 3. 車Bへの車両入替後、保険名義を本人から同居の親族に替える
- 4. 車Aは廃車手続きに移行する
ノンフリート等級の引き継ぎには2種類ある
ノンフリート等級の引き継ぎといった場合一般的には2つの意味があります。
- 保険会社間での等級引き継ぎ
- 同居の家族間での等級の引き継ぎ
保険会社間での等級引き継ぎ
保険会社の等級引き継ぎとは、たとえば、今まで代理店型の自動車保険に加入していたというユーザーの方が、翌期からは通販型の自動車保険に加入するというような場合です。
保険会社間の等級引き継ぎについては、ほとんどの場合で前の会社での契約で適用されていたノンフリート等級が、新しい会社での契約に適用されます。一部の共済組合の自動車保険から通販型の自動車保険に乗り換えた場合に、等級引き継ぎができないケースがありますが、それ以外の場合にはノンフリート等級は会社間で引き継がれるのが原則です。
同居の家族間での等級の引き継ぎ
同居の家族間でのノンフリート等級の引き継ぎとは、死亡や免許返上によって自動車保険契約を解約する方が、同居の家族で自動車を運転する者がいる場合、そのノンフリート等級をその同居の家族に譲るというケースです。
保険会社間のノンフリート等級の引き継ぎは常に可能なのが原則ですが、家族間のノンフリート等級の引き継ぎは一定の要件を満たした場合のみ可能です。家族間のノンフリート等級の引き継ぎの場合には、解約する方のノンフリート等級が引き継ぎを受ける方のノンフリート等級より1級以上高くないと意味がありませんし、引き継ぎを行うためには引き継ぎ先が同居の家族である等の要件もあります。
自動車会社間で等級を引き継ぐ際には解約手続きが必要
最近は通販型の自動車保険の方が割安なので、代理店型から通販型に保険を切り替えるユーザーの方が大勢いらっしゃいます。そこで気になるのが、保険会社を乗り換えた場合に、せっかく無事故で積み上げてきたノンフリート等級がきちんと引き継がれるかどうかということです。
基本的には、保険会社同士で乗り換えた場合にノンフリート等級が引き継がれるのが原則です。なお、自動車保険の運営団体としては、普通の自動車保険会社の他、JA共済、教職員共済、全国自動車共済、全労済などの共済組合もありますが、共済組合の一部と普通の自動車保険会社間で乗り換えた場合には、等級引き継ぎができないケースもあります。
共済組合の自動車保険に加入している場合、ノンフリート等級による割引やその他の各種の割引のほか、団体割引が適用されるので保険料が割安になっています。共済の自動車保険に加入している方が他の自動車会社に乗り換えるということは、それほど多くはないかもしれませんが、そういった場合には、ノンフリート等級が引き継がれないこともあるので注意が必要です。
会社間で等級引き継ぎを行う場合の注意点
自動車保険会社間で保険を乗り換える場合等級が引き継がれるのが原則ですが、一定の場合には、等級が引き継がれないこともあります。また、等級が引き継がれるが等級アップが遅れてしまうこともあります。保険会社間で自動車保険を乗り換える場合には、そういった事項に注意して乗り換えで損をしないようにしなくてはなりません。
前の保険の解約日の翌日から7日以内に、新規加入手続きをする
保険会社同士で乗り換える場合に注意すべき事項としては、まず、前の会社の保険の解約日の翌日から起算して7日以内に新しい会社と契約を行わないと、ノンフリート等級の引き継ぎができなくなるという点です。
自動車の運転を止めてしまったわけではなくただ単に保険会社を乗りかえる場合には、前の保険会社の保険解約日と新しい保険会社との契約日の間に期間が開くとその期間については自賠責保険のみの補償となるので、万が一重大事故を起こしてしまった場合、大変なトラブルに巻き込まれる可能性があります。
前の保険の解約日と後の保険の加入日の間に間が開くと等級引き継ぎができなくなる恐れがあるだけでなく、保険金を受け取れなくて重大なトラブルに巻き込まれることもあるので十分な注意が必要です。そのため、自動車保険会社を乗り替える場合には、前の保険の保険期間と後の保険の保険期間に切れ間が生じないようにします。
一般的には、保険会社は、保険期間の満了日の1か月程度前に契約の満期日及び契約更新手続きの案内を、ユーザーのもとに郵送します。乗り換えを検討される場合、その案内が来てからということになるでしょう。そうすれば、今まで契約していた会社の保険の内容と乗り換え先の保険会社の保険の内容も容易になりますし、保険乗り換えの手続きが遅れて等級引き継ぎができないということもないでしょう。
乗り換えは保険期間満了のタイミングで行うとよい
保険期間の途中で保険会社の乗り換えを行った場合ノンフリート等級の昇給が遅れてしまいます。たとえば4月1日から翌3月31日までが保険期間である保険会社Aの自動車保険を、保険期間の途中である10月1日に解約したとします。解約と同時に保険会社Bの保険に加入したとします。
このケースで保険会社Bの最初の保険期間の満了日が翌年の9月30日だとすると、ノンフリート等級を1級上げるためには、A社との最後の契約の保険期間の始期である4月1日からその翌年の9月30日までの1年6か月間、無事故で経過する必要があります。
A社との最後の契約の保険期間の満了日にB社に乗り換えた場合には、A社の最後の保険期間を無事故で経過していればその時点で1級上がります。その後、B社の最初の保険期間を無事故で経過すればさらにもう1級上がります。
契約期間の途中で他の自動車会社に乗り換えた場合にはノンフリート等級の昇給が遅くなり、ユーザーは損をすることになります。保険期間の途中で会社を変更すべき特別な事情がなければ、保険会社の乗り換えは、現在契約中の保険会社の保険期間が満了してからということになります。
ノンフリート等級のリセットには13カ月必要
新規に自動車保険に加入した方が短期間に立て続けに重大事故を起こして保険を使うと、ノンフリート等級は最低の1級になります。1級の割増率は63%ですので、本来の自動車保険料金の6割以上の高い保険料を請求されることになります。ノンフリート等級1級の方が、新規加入者に適用される6級に戻るには、連続5期(5年間)無事故で保険期間を経過する必要があります。
ノンフリート等級1級の方が一度保険を解約し、新規に保険に加入すればすぐに6級に戻るのではないかと、すぐに思いつきます。しかし、それほど甘いものではありません。ノンフリート等級がリセットされて、6級に戻るためには最初の保険の解約から13か月を経過している必要があります。
ユーザーはその期間は自動車を運転することはできません。より正確に言うと、車検を通っていれば自賠責保険はかかっていることになりますから運転をしても違法ではありませんが、万が一の重大事故の際に十分な保険金を受け取れませんから、運転を控えた方が良いということになります。
公共交通網の発達している都会で暮らしており、自動車の利用目的が主にレジャーだという方であれば、待機の13か月間について自動車を使わなくても何とかなると思いますので、そのような場合には、保険を解約して下がった等級をリセットする方法も現実性を帯びるかもしれません。
自動車を運転しなくなったら、「中断証明書」を取っておく
海外に長期間滞在するためなどの理由で日本国内で自動車を運転しなくなるために、自動車保険の解約手続きと廃車手続きを行うことがあります。このケースで、同居の親族等にノンフリート等級を譲るなどしない場合には、保険会社から「中断証明書」を取得しておくとよいでしょう。
この「中断証明書」を取得しておくと、保険の解約から10年以内に自動車を再び運転する機会があれば、その際の自動車保険の再加入時に、前の保険で適用されていたノンフリート等級を引き継いでもらうことができます。「中断証明書」の発行には、陸運局が交付する「登録事項等証明書」も必要になりますので、交付請求の前に廃車手続きを済ませておく必要があります。
「中断証明書」の取得ができるのは解約時点での自動車保険のノンフリート等級が7級以上の場合です。解約する保険のノンフリート等級が6級以下だと、新規加入時の等級は6級ですから「中断証明書」を取得して等級を引き継いでも、まったくメリットがありません。そもそも、解約する保険の等級が7級以上ないと「中断証明書」は発行されません。
ノンフリート等級は自動車保険を安くするためのもっとも重要なツールです。長年無事故で積み上げてきた級数は、他人に譲ったり新しい会社に引き継いだり10年以下の期間で保存したりと、さまざまな方法で活用できます。新規の6級から最上級の20級まで上げるには最速でも14年間必要になります。この貴重なノンフリート等級を有効に活用して、保険料の大幅割引をぜひ獲得したいものです。
5等級以下の方必見!等級をリセットする方法
ノンフリート等級が4級以下になると保険料が割り引かれるどころか反対に割増しになります。ノンフリート等級が低い場合、何とかして新規加入時に適用される6級にリセットする方法がないものかと考える方もいらっしゃると思います。果たしてそのような方法はあるのでしょうか。
自動車保険のノンフリート等級制度について
新規加入時のノンフリート等級は6級で割引率は19%となります。ノンフリート等級が5級又は4級になると割引率はそれぞれ、13%と2%になります。ノンフリート等級が3級以下になると割増率が適用され、本来の保険料より実際の保険料が高くなります。
ノンフリート等級6級以下の割引率及び割増率を表にすると以下のようになります。
級数 | 割引(割増)率 |
---|---|
6級 | 19%割引 |
5級 | 13%割引 |
4級 | 2%割引 |
3級 | 12%割増 |
2級 | 28%割増 |
1級 | 64%割増 |
ノンフリート等級が最低の1級の場合保険料は63%割り増しになります。たとえば、保険料の本来の水準が100,000円だとすると、実際の保険料は163,000円となるわけですからユーザにとって非常に重い負担となります。
ノンフリート等級は1保険期間(1年間)を無事故で経過すると1級上がり、人身事故などの重大事故を起こして保険を使った場合3級下がります。自然災害による事故で車両保険のみ使ったような軽微な事故の場合、等級は1級下がります。したがって、初めて保険に加入した方が最初の保険期間に人身事故を2回起こして保険を使えば、時期からはノンフリート等級1級が適用になります。
ノンフリート等級制度のあらまし
自動車保険に限らずすべての保険に共通することですが、事故を起こして保険金をよく請求する被保険者は、保険会社から見るとよくない被保険者となり、事故を起こさないで保険金をほとんど請求しない被保険者は、保険会社から見てよい被保険者となります。
保険会社からすると、事故を起こす確率の高い被保険者と事故を起こす確率の低い被保険者を同じ保険料とするのは、割に合いません。事故を引き起こす確率の高い被保険者は、保険金をたくさん使う可能性があるので、保険料をたくさん取るべきですし、事故を起こす確率の低い被保険者には保険料を安くするべきでしょう。
本来であれば、自動車保険会社は、保険加入者1人1人を調査しドライバーがどのくらい事故を起こす確率があるかを把握し、それに基づいて保険料を決めるべきです。しかし、1つの保険会社に加入を申し込む者は膨大な数に上り、1人1人に対してそのような調査を行うのは不可能な状態となっています。
そこで、無事故運転の期間が長ければ長いほど保険料が割安になり、反対に、事故を起こせば起こすほど保険料が高くなるような仕組みを作り、大量の被保険者を画一的に取り扱うことができるようにしました。この仕組みがノンフリート等級制度です。
ノンフリート等級は運転者のリスクを表している
ノンフリート等級は最初は6級で、無事故で保険期間を経過すると翌期には1級上がり、保険期間の途中に事故を起こしてしまうと、翌期から事故の程度に応じて3級又は1級ダウンする仕組みとなっています。ノンフリート等級を6級から20級に上げるには最低でも14期(14年間)を無事故で経過する必要があり、20級のドライバーは事故を起こさない優良ドライバーということになります。
反対に、ノンフリート等級が新規加入時の6級より下回る場合には、その方は過去に事故を起こしたことのある、事故を起こす確率の高いドライバーということになります。1級の方だと繰り返し重大事故を起こしている方ということになるので、危険度ラーバーということになります。
ノンフリート等級制度は運転免許証のカラーの区分と似ています。免許のカラーは、過去5年以内に無事故・無違反のドライバーにはゴールドの、過去3~5年以内に事故や違反をしたドライバー又は免許を取ってから5年未満のドライバーにはブルーの、初めて免許の交付を受けたドライバーにはグリーンの免許が、それぞれ交付されます。
免許のカラー区分でも免許の色を見ただけで、ドライバーの運転技術の水準をある程度把握できるようになっています。ノンフリート等級の場合には、免許のカラーの区分よりはるかに細かいクラス分けがされていますから、より高度なレベルでドライバーの運転技術の把握ができるようになっています。
低いノンフリート等級をリセットする方法はあるのか
ノンフリート等級が下がった場合、地道に無事故期間を積み重ねて少しずつ等級を上げていくのが、下がった等級を元に戻すもっとも確実は方法です。しかし、1級まで下がった等級を新規加入者の等級である6級まで戻すには最短でも5年はかかります。その間割高の保険料を支払い続ける必要があります。
そこで、だれでも一度下がった等級を短期間にリセットする方法はないものかと考えるでしょう。しかし、一度下がった等級を短期間に元通りにする方法はありません。唯一、一度保険を解約して13カ月経過後に再加入した場合には、等級がリセットされて6級に戻ります。ただし、この方法をとると、待機の13か月間は原則として自動車の運転はできません。
保険会社を変えても等級はリセットされない
新規に自動車保険に加入するという場合には等級は6等級となります。たとえば、重大事故を連続して起こしてしまい等級が1級になった場合、保険会社を変えれば等級がリセットされて6級に戻るのではないかと、誰もが考えるのではないでしょうか。しかし、損害保険業界でネットワークを持っていて、そのようなユーザーが加入の申込をした場合、相手の保険会社に発覚して等級は1級のままとなります。
それでも、加入を認めてくれればまだよいのですが、ノンフリート等級が1級のユーザーを加入させるとすぐ事故を起こして保険金の支払いが必要になる可能性が高く、そうなると保険会社の方で損をしますので、保険の加入を断られる可能性もあります。この可能性は外資系や通販型の保険会社の方が高くなる傾向があります。
ノンフリート等級が1級になった場合には、現在の保険会社を解約して新しい保険会社に加入を申し込んでも等級は1級のままですので、そのまま現在の保険会社の契約を継続し無事故期間を積み重ねて、少しずつ等級を上げていくしかないでしょう。
共済の自動車保険に変えても等級はリセットされない
損害保険会社系の自動車保険会社で、契約先を変更した場合には低いノンフリート等級はリセットされませんが、今度は共済組合が運営する自動車保険に変えた場合に、低いノンフリート等級はリセットされるのでしょうか。結論は、共済系の自動車保険に切り替えた場合でも低いノンフリート等級はリセットされません。
共済組合も損害保険業界のネットワークに加入していますので、頻繁に事故を起こして等級の低い保険ユーザーはすぐに把握します。そのため、重大事故で保険を使ったためにノンフリート等級が低い保険ユーザーが申し込んできた場合には、やはり、前の契約で適用されていたノンフリート等級で契約します。
新しい自動車の乗り換えても等級はリセットされない
等級が下がった場合契約車両を別の車両に入れ替えると、なんとなく等級がリセットされるような気もします。しかし、保険の契約車両を入れ替えても等級がリセットされることはありません。ノンフリート等級は記名被保険者の運転技術を画一的に表示するシステムです。
車両が変わっても記名被保険者が変わらない限り、ノンフリート等級が変わるはずはありません。ノンフリート等級をリセットするために車両の変更手続きを行ってもまったく効果はありません。余計な手間がかかるだけですのでそんなことは行わないようにします。
記名被保険者を変更しても等級はリセットされない
記名被保険者を、記名被保険者の同居の親族に変更した場合には、ノンフリート等級の引き継ぎが行えます。ただし、ノンフリート等級の引き継ぎは、等級の高いものから低いものに対して行うのが普通です。そうでない場合には、等級引き継ぎを行う意味がまったくありません。
新規加入者の等級が6級で、同居の家族ですでに自動車保険に加入されている方が1級の場合、新規加入者の6級と、既加入者の1級を取り替えれば、2人合算の保険料を安くできるケースが皆無とは言いませんが、だいたい、新規加入者は年齢が若いので本来の保険料が高く、既加入者は、年齢が高いので本来の保険料の水準が低いのが普通なので、このような等級の入れ替えを行えば、2人合算の保険料は増加します。
このような等級引き継ぎを行っても、結局は、新規加入者の方が1等級を引き受けるわけですから、等級がリセットされるわけではありません。新規加入者が割高の保険料を支払うことになります。
自動車保険を中断しても等級はリセットされない
一時的に海外に住所を移すような場合、日本国内で契約している自動車保険を解約することになりますが、保険会社から「中断証明書」を取得しておけば、解約時のノンフリート等級を、帰国後に再度自動車保険に加入する際、引き継ぐことができます。ただし、中断証明を取得できるのは、等級が7級以上の場合です。等級が6級以下の場合には、そもそも「中断証明書」は交付されません。
「中断証明書」をうまく活用すれば、低いノンフリート等級をリセットできるような気もしますが、その方法は利用できません。なお、13カ月以上海外に滞在する場合には、普通に解約の手続きをし、帰国後に、普通に自動車保険に加入すれば、新規加入時の6級に戻ります。
自動車保険の悪い等級をリセットする唯一の方法
ノンフリート等級が低い場合、それを上げる一番確実な方法は、保険期間を無事故で経過することを積み重ねることです。安全運転を心がけ、無事故で保険を使わない期間が5年以上となれば、1級の等級も新規加入時の6級に戻ります。ただし、その期間、割高の保険料を支払わなくてはなりません。
どうしても、5年間も高い保険料を支払うのが嫌だという場合には、短期間に悪い等級をリセットとする方法が1つあります。それは、保険を解約して、13か月間待機し、その後、再度保険に加入することです。前の保険の解約日と、新しい保険の加入日が13カ月以上離れていれば、前の保険で適用されていたノンフリート等級は新しい保険に引き継がれず、ノンフリート等級は新規加入者の6級が適用されます。
この方法を使うと、13か月間は任意保険に入れないことになります。任意保険に加入できなくても、車検を通っている自動車であれば、自賠責保険には加入しているはずですから、自動車を運転しても、違法になりません。ただし、任意保険に加入しない状態での運転となりますので、差し控えた方がよいことは言うまでもありません。
首都圏や関西圏など、バスや電車など、公共交通機関が発達しているところに居住されている場合には、自動車の運転が13か月程度できなくても、それほど困ることはないでしょう。しかし、地方に居住している場合には、自動車は日常生活に不可欠なものとなっており、13カ月も自動車を使用できないとなると、大変です。地方居住者の方の場合には、この方法は適切ではありません。
ノンフリート等級を普通の方法で回復するといくらかかるか
自動車保険に新規加入した方が、最初の保険期間に連続して2回、重大事故を起こして保険金を使った場合、そのユーザーの方のノンフリート等級は1級に下がります。1級に下がっても、事故を起こした日が属する保険期間の翌保険期間から、5年間、無事故で保険を使わなければ、等級は新規加入時の6級に戻ります。
一度下がったノンフリート等級を元に戻すためのもっとも確実な方法は、地道に無事故期間を積み重ねていくことですが、その場合、保険料が高くなります。では、この方法を採用した場合、保険料はどのくらい上がるのでしょうか。
ノンフリート等級が1級から6級に回復するまでの保険料について
自動車保険の本来の保険料の金額が100,000円の方が、新規加入した保険期間に2回連続して人身事故を起こして保険を使用し、ノンフリート等級が1級になった場合、保険料がどのくらい割増しになるかを試算してみます。
最初の保険年度は、事故を起こしても起こさなくても6級が適用されますので、保険料の金額は81,000円となります。
次の保険年度(2期目)は、ノンフリート等級1級で、63%割り増しになりますので、163,000円となります。
2期目の保険期間に事故を起こさなかったとすると、3期目に適用される等級は2級となり、その期の保険料は128,000円となります。
3期目の保険期間事故を起こさなかった場合には、次の4期目に適用される等級は3級となり、その保険料は112,000円となります。
4期目に事故を起こさなかったとすると、次の5期目に適用される等級は4級となり、その保険料は98,000円となります。
5期目に事故を起こさなかった場合には、次の6期目に適用される等級は5級となり、保険料は87,000円です。
第5期に無事故で経過すると、第7期には、保険料は6級が適用されるので、第1期と同じ金額となります。
計算過程を表にまとめると、以下のようになります。
保険期間 | 適用級数 | 割引率 | 保険料 |
---|---|---|---|
第1期 | 6級 | 19%割引 | 81,000円 |
第2期 | 1級 | 64%割増 | 164,000円 |
第3期 | 2級 | 28%割増 | 128,000円 |
第4期 | 3級 | 12%割増 | 112,000円 |
第5期 | 4級 | 2%割引 | 98,000円 |
第6期 | 5級 | 13%割引 | 87,000円 |
自動車保険に加入した最初の保険期間に重大事故を起こし、ノンフリート等級を1級まで下げた場合に、元の6級に戻るまでに、最速で6年間かかるわけですが、その期間の保険料の累積額は、670,000円となります。
新規加入から1回も保険を使わなかった場合の6年間の保険料
新規加入から1回も保険を使わなかった場合、ノンフリート等級は、毎年1級ずつ上昇して、6年後には11級に上昇します。この場合の6年間累積保険料(本来の保険料を100,000円とする)を計算すると、以下のようになります。
保険期間 | 適用級数 | 割引率 | 保険料 |
---|---|---|---|
第1期 | 6級 | 19%割引 | 81,000円 |
第2期 | 7級 | 30%割増 | 70,000円 |
第3期 | 8級 | 40%割増 | 60,000円 |
第4期 | 9級 | 43%割増 | 57,000円 |
第5期 | 10級 | 45%割引 | 55,000円 |
第6期 | 11級 | 47%割引 | 53,000円 |
新規加入から6年間、一度も保険を使わなかった場合の6年間の保険料総額は、376,000円となります。一方で、事故で等級が1級に下がった後、無事故期間を積み重ねて6級に戻す場合、その6年間の累積保険料は376,000円となります。その差額は、294,000円となります。
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事故を起こすと「事故有り等級」が適用されて通常よりも保険料が高くなる!
平成25年10月にノンフリート等級制度の改定が行われました。この改正により、交通事故で保険を使った方が、その後により多くの負担を求められるようになりました。以下では、この改正の内容について説明いたします。
平成25年のノンフリート制度の改定について
平成25年の改正で、従来は1つのノンフリート等級に1つの割引率が設定されておりました。しかし、改定後は、ノンフリート等級全体で割引率の変更さて、また、1つのノンフリート等級に事故無の割引率と事故無の割引率の2種類の割引率が設定されました。
各等級における改定について
平成25年改正前後のノンフリート等級の割引率を表にすると以下のとおりとなります。
ノンフリート等級 | 改定前割引率 | 改定後事故無割引率 | 改定後事故有割引率 |
---|---|---|---|
20級 | 63% | 63% | 44% |
19級 | 61% | 55% | 42% |
18級 | 59% | 54% | 40% |
17級 | 57% | 53% | 38% |
16級 | 55% | 52% | 36% |
18等級では、改定前は全ドライバーに対して59%の割引率が適用されました。しかし、改定後は事故有の18等級54%と、事故無の18等級40%の2つの割引率に分かれました。
同様に、16等級では、改定前は全ドライバーに対して55%の割引率が適用されました。しかし、改定後は事故有の16等級52%と、事故無の16等級36%の2つの割引率に分かれました。
言うまでもなく、改定後のノンフリート等級については、事故有の割引率が事故無の割引率と比較して、15%から20%程度低く設定されており、その分保険料の割引が少なく、より多くの保険料に支払いが求められます。
ノンフリート等級全体の改定について
ちなみに、改定前の各等級の割引率と、改定後の事故無の割引率を比較すると、14等級は双方が50%で変更はなかったのですが、それより上の等級では、改定後の割引率が低くなっており、それより下の等級では割引率が高くなっています。5等級以下の割増率については、割増率は改定により増額しております。
事故を起こすとその後3年間は保険料負担が増大
1度交通事故を起こして保険を使うと、ノンフリート等級は3級下がります。しかし、改定前は等級は下がってもその等級の割引率が適用されていました。言い換えれば、改定後における事故無しのより高い割引率が適用されていました。
しかし、改定後は、事故でノンフリートその翌年から3年間は事故有のノンフリート等級が適用されます。事故有のノンンフリート等級は改定前の割引率より明らかに少ないため、事故後3年間は改定前より多くの保険料を支払わなくてはなりません。
改定前は事故を起こした場合、単にノンフリート等級が下がるだけでしたが、改定後は下がるだけでなく、その後3年間は割引の少ない、より高い保険料を支払い続けなくてはなりません。3等級下がるだけでも相当大きいのに、さらにより低い割引率の適用を受けなくてはなりません。
ノンフリート制度の改定に対する対策について
平成25年のノンフリート改定により、事故を起こしたドライバーは、以前より多くの保険料の負担を求められるようになりました。今後は交通事故を起こさないようにいっそう注意するとともに、車両などの軽微な事故にはできるだけ車両保険を使わないようにするなどの対策が必要となります。
ノンフリート等級別料率制度
自動車保険を含め保険制度は相互扶助で成り立っています。つまり多くの人が保険料を出しあい、他の人を助けるという目的です。公平性の原則が自動車保険にも生かされており、保険契約者が公平に自動車保険の恩恵にあずかれるよう保険商品が設計されています。その1つにノンフリート等級別料率制度があります。
この制度は相互扶助の観点から設定されており、事故を起こしやすい人ほど保険料が高くなり、反対に事故を起こしにくい人の保険料を割安にすることで加入者同士の公平性を保っています。
等級の仕組み
ノンフリート等級別料率制度は全部で20等級が定められており、数字が大きくなるほど保険料の割引率が高くなります。はじめて自動車保険に加入する人の場合は6等級からのスタートとなっており、1年無事故で過ごすごとに翌年度の等級が1段階上がり割引率もそれに合わせて上昇します。
6等級からのスタートの場合、14年間保険を使用する事故がなかった場合には最高の20等級になります。反対に事故を起こし、保険を使用した場合には翌年度の等級が3段階ダウンします。そしてその分保険料が割高になるため注意が必要です。しかも1から3等級の場合は割増になり保険料も高額になります。
セカンドカー割引を使うと、2台目からの等級は7等級からスタートすることができます。
2012年10月からの改訂
また2012年度年10月よりノンフリート等級別料率制度は次の内容が改定されました。
- 区分が無事故等級と事故有り等級に分かれた。無事故等級と事故有り等級は割引率に差がある
- 等級据え置き事故は廃止され、1等級ダウン事故が新設された
- 保険事故を起こした場合、3等級ダウン事故は3年間、1等級ダウン事故は1年間、事故有り等級の割引率が適用される
無事故無等級と事故有り等級
まず、従来は1つの等級表の中だけで割引率が決定されていましたが、改訂後は無事故等級と事故有り等級に分かれることになりました。事故を起こさなければそのまま無事故等級が適用されますが、一度事故を起こしてしまうと等級が3等級ダウンするのに加えて、更に事故有り等級が適用されます。事故有り等級は無事故等級に比べて割引率が低くなるため、その分保険料が割高になります。
3等級ダウン事故が発生した場合は事故を起こしてから3年間は通常の割引率とは異なることになります。しかし3年間保険を使用することがなかった場合には元の料率に戻ります。また1等級ダウン事故が発生した場合には翌年の1年間は事故有り等級が適用されますが、1年間保険適用事故がなく経過した場合には元の無事故等級に戻るようになります。さらに保険適用となる事故が続いた場合には最大6年間、事故有り等級が適用される事になるので注意が必要です。
1等級ダウン事故の新設
従来は事故を起こしても等級が変わらない「等級据え置き事故」という制度がありましたがこの制度が廃止され1等級ダウン事故が新設されました。とは言っても大抵の事故は3等級ダウン事故になると考えてください。1等級ダウン事故となるのは、盗難、落書き、いたずらといった自分の過失に寄らない事故の場合です。