自転車で事故に遭った場合に自動車保険は使えるか?
通勤や通学、買い物などで自転車に乗っていて、交通事故に巻き込まれる場合があります。自転車に乗っている場合の事故については、加害者がいれば、加害者側の自動車保険による補償を受けることができます。
交差点での巻き込み事故などがそれに当たりますが、ケガの治療費だけでなく、自転車の買い替え費用なども加害者側の自動車保険で補償されます。相手が任意保険未加入の場合も、自賠責保険からケガなどの治療費の補償を受けられますが、自転車の修理費用は相手側の実費による賠償になります。
自転車の単独事故や自転車同士の事故の場合
相手がいない場合の自転車による単独事故や、自転車同士の事故の場合には、自動車保険を使うことは思い浮かばないかもしれません。しかし自転車による交通事故が増加しているため、自動車保険で補償が受けられるようになりました。
自転車事故で保険が利用できる場合とは、人身傷害保険と個人賠償責任特約です。人身傷害保険は、自動車の運転中や乗車中だけでなく、生活上生じるさまざまなケガを補償します。自転車による事故でケガをした場合にも、人身傷害保険による補償を受けることができます。
しかも人身傷害保険による補償を受ける場合、等級ダウン事故としてはカウントされないため、安心して自動車保険を利用することができるというメリットがあります。また過失割合の大小にかかわらず補償を受けられるため、万一の時に備えることもできます。
個人賠償責任特約で補償をカバー
個人賠償責任特約を付帯していると、相手をケガさせてしまった場合になどの補償を自動車保険で行うことができます。特約で定められている保険金の上限の間で補償をすることができるという特徴があります。
近年自転車の性能が向上し、加速が良くなったため、交通事故を起こした場合の損害も大きくなる傾向がありますから、万が一の場合に備えて付帯しておきたい自動車保険の特約の1つと言えます。
おすすめの自動車保険一括比較3選 | ||
---|---|---|
最短5分で一括見積 | 約25,000円安くなる | 最大20社を一括比較 |
自動車事故で「労災保険」を使う場合
労災保険とは、仕事上でケガをした場合や死亡した場合に補償する制度のことを指します。たとえば勤務中に足を捻挫したり、階段で転び足を骨折してしまったりする場合は労災保険が適用されます。通勤途中でのケガについても同様で労災保険が適用されます。
労災保険が適用されると、治療費は一切かからなくなりますし、治療のために会社を休まなければならない場合には休業補償も得ることができます。職場のストレスでうつ病になったり、過労死と認定されたりした場合にも労災が適用されます。しかし、交通事故については労災保険と自動車保険のどちらかの補償を受けることになるか、わからない場合もあるかもしれません。
交通事故で労災保険は利用できるのか
通常、会社の車を運転していて交通事故に遭った場合、加入している自動車保険から補償を受けることができるため、労災をあえて利用する必要はありません。しかしながら、業務上自分が交通事故を起こしてしまい、自分に対する補償が受けられない場合や、相手が無保険車の場合があります。
加害者になった場合や、相手が無保険車の場合には労災保険を利用することができます。この場合、会社を通じて所定の用紙を労働局へ提出することになります。労災はケガの治療費や休業補償、死亡した場合の補償を提供するため、事故を起こした場合でも補償を受けることができるというメリットが有ります。
労災保険を利用する際の注意点
注意点は、労災保険は労働者に対しての補償であり、被害者に対する賠償には適用されないことです。交通事故で加害者になった場合には、被害者への賠償は自動車保険から行なうことになります。自賠責保険によりケガや死亡保険金が支払われ、超過分は任意保険から支払われることになります。
また休業補償を受ける場合、自賠責保険と労災保険のどちらか1つを選ぶことになりますので、補償額の大きい方を選ぶようにするとよいでしょう。手厚いのは自賠責保険になりますから、選ぶことが出来る場合は、自賠責保険を選ぶのが賢明と言えます。
おすすめの自動車保険一括比較3選 | ||
---|---|---|
最短5分で一括見積 | 約25,000円安くなる | 最大20社を一括比較 |
自動車事故で「健康保険」を使う場合
日本では、国民皆保険制度が実施されているため、国民は国民健康保険、もしくは社会保険のいずれかに加入する必要があります。健康保険制度とは、相互扶助の理念のもとに制定された助け合いの制度で、国民が互いに出しあった保険料を病気やケガで治療を受ける加入者に分配する役割を果たします。
交通事故は健康保険適用外
しかし、交通事故の場合は、健康保険を利用することはできません。健康保険適用外となる事例に第三者行為がありますが、交通事故はそれに当たります。第三者行為とは、自分には責任がなく、他の人によって引き起こされる事故などのことを指します。交通事故の被害者になった場合、賠償責任を負うことになるのは加害者です。そのため健康保険は適用されなくなります。
交通事故の場合は、健康保険制度とは別の保険制度によって補償されることになっているため、第三者行為であっても補償が成り立ちます。それが自動車保険です。この保険には、自賠責保険と任意保険の二種類があり、傷害や死亡の場合はまず、自賠責保険から補償が行なわれます。そして足りない分については、任意保険から補償されることになります。
交通事故でも健康保険が使えるケース
交通事故では、基本的に健康保険が適用されることはありませんが、例外もあります。それは、自損事故と加害者に支払い能力がない場合です。自損事故の場合、人身傷害保険を付帯していれば補償されますが、付帯していない場合には全額自己負担となります。事故負担で医療を受けると、治療費が高額で払えなくなってしまう場合が多くなります。
加害者に支払い能力がない場合も同様で、被害者が高額な医療費を支払えなくなってしまうとすれば、被害者を救済する事ができません。こうした理由により、自動車事故であっても、自損事故や加害者の支払い能力がない場合に、健康保険を使用することが許されています。この場合、自己負担は3割で済むことになりますから、医療費の心配をさほどしなくても済むようになります。
自動車保険を使わない方が良い場合
車を運転していて万が一、事故を起こしてしまったら、その損害は自動車保険によって補償するのが一般的です。しかし、中には保険を使うと損をしてしまうため、使わない方が良い場合もあります。
保険を使うと保険料が上がる
自動車保険を利用すると、ノンフリート等級の等級がダウンし、保険料が大幅に上がってしまう場合があります。平成25年に自動車保険制度の大幅な改定があり、等級がダウンする事故が大幅に増えました。
等級ダウンによる保険料の上昇を防ぐために、場合によっては自動車保険を使わずに、費用を自己負担することで節約できる場合があります。人身事故を起こしてしまった場合には、小さなケガであっても保険を利用することになり、等級ダウンは避けられません。
もし自賠責保険から請求できるのであれば、それを利用することで等級据置になります。この場合、費用は一時的に立替となるため、資産に余裕が有る場合はこの方法が保険会社から提案される場合があります。いずれの場合も保険を利用したほうが無難です。
自動車保険を使わないほうが良い場合
物損事故を起こした場合
自動車保険を使わない方が良い場合の1つ目は物損事故です。相手の車を凹ませてしまったり、傷つけてしまったりした場合には、修理費の見積もりを取り、保険料上昇分と比較してどちらの費用負担が軽いかを考えます。
3等級ダウンした場合、元の保険料に戻るまでには3年かかりますし、等級制度の改正により、現在は通常の等級と比べて割引率が低くなっているため、大幅な保険料アップにつながってしまいます。3年間の収支を計算し、自分に支払い能力がある場合には、自己負担をすることで家計への負担を節約できます。
車両保険を利用する場合
自動車保険を使わない方が良いといえる2つ目の事例は、車両保険を利用する場合です。交通事故で自分の車を修理することになった場合、修理費用と保険料の上昇分を比較します。修理費用が数万円で済むのであれば、保険料上昇分と比べて費用が少なく保険を使わないほうが得する場合も少なくありません。
自動車保険を使うかどうかは保険料と損害額の比較で決定します。また、支払い能力がない場合には保険を活用することで、経済的負担をカバーできます。
保険を使っても等級に影響が無い「ノーカウント事故」
等級ダウンする事故が大幅に増えた一方で、保険を使っても事故件数に数えられることはなく等級も下がらない「ノーカウント事故」もあります。ノーカウント事故に該当するのは搭乗者傷害保険や人身傷害保険、無保険車傷害特約をはじめ、弁護士費用補償特約、ファミリーバイク特約といった補償や特約を使った事故です。
ノーカウント事故に該当しない事故においては通常とおり3等級または事故の状況などによって1等級ダウン事故になります。保険会社によってノーカウント事故が適用される補償や特約は違うので、契約時に必ず確認するようにしてください。保険を使ったら必ず等級が下がるという訳ではないので、自己判断で使用するかどうかを決めてはいけません。